兵庫県の斎藤知事による「パワハラ」などを内部告発する文書を配布し、県から懲戒処分を受けた元幹部職員が亡くなった。この職員は今月19日の百条委員会に証人として出頭する予定だった。斎藤知事周辺での職員自殺はこれで2人目という異常事態だ。
内部告発を「嘘八百」呼ばわり、兵庫県・斎藤元彦知事の重大疑惑
兵庫県・斎藤元彦知事(46)の「違法行為」や「パワハラ」を内部告発する文書が、報道機関などに配布されたのは今年3月。亡くなった元西播磨県民局長(60)が作成したもので、斎藤知事に関する疑惑が7項目にわたって記載されていた。
(1)五百籏頭眞先生ご逝去に至る経緯
(2)知事選挙に際しての違法行為
(3)選挙投票依頼行脚
(4)贈答品の山
(5)政治資金パーティ関係
(6)優勝パレードの陰で
(7)パワーハラスメント
(1)は、神戸大名誉教授で、ひょうご震災記念21世紀研究機構の理事長を務めていた五百籏頭 眞(いおきべ まこと)氏が、今年3月に急性大動脈解離で急逝する前日、斎藤知事から「理不尽な仕打ち」を受けたとするもの。大動脈疾患はストレスも大きな要因とされ、「先生の命を縮めた」としている。
(2)は、2021年7月の知事選挙に斎藤知事が立候補した際、複数の県職員に選挙期間外の事前運動を手伝わせ、その見返りに当該職員を人事面で優遇し昇任させたとする疑惑。これらは公職選挙法や地方公務員法に抵触する違法行為としている。
(3)は、斎藤知事が2023年下半期から、次回知事選挙での自分への投票依頼を開始しているとする疑惑。商工会などに出向き投票依頼を行った日付も記載されており、これらもまた公職選挙法や地方公務員法に違反する行為としている。
(4)は、斎藤知事の「おねだり体質」を批判する内容。知事は企業から私的な贈答品を多数受け取っており、視察先やカウンターパートを選定する際の企業リストには「何が貰えるか」や「役得」を記載するための備考欄があると暴露している。
(5)は、斎藤知事の2023年7月の政治資金パーティに際し、県下の商工会議所や商工会にパー券の大量購入を強要したとする疑惑。県からの補助金カットをほのめかして圧力をかけたとしている。
(6)は、2023年のプロ野球阪神・オリックス優勝パレードについて、県費をかけずクラウドファンディングや企業からの寄付で費用を賄う方針だったところ、必要額が集まらなかったため、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせることで費用を補ったとする疑惑。公金横領や公費の違法支出にあたるとしている。
(7)は、斎藤知事のパワハラを強く批判する内容。「出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止のため、20メートルほど手前で公用車を降りて歩かされただけで、出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らし」たなど具体例を列挙したうえで、知事のパワハラは職員の限界を超え、あちこちから悲鳴が聞こえているとしている。
斎藤知事の「嘘八百」こそ大嘘だったのか?職員自殺者は2人目
斎藤知事はこれらの問題が表面化した当初の3月、「業務時間中に嘘八百の文書を作って流す行為は公務員失格」などと疑惑を完全否定。文書について内部調査を行った県は、告発は事実無根として職員を停職3ヶ月の懲戒処分とした。
ところが5月になり、その県の内部調査に、文書内で問題を指摘された団体の顧問弁護士、つまり斎藤知事と懇意な利害関係者が協力していたことが判明。
さらに、兵庫県議の丸尾牧氏が実施した県職員への独自アンケートでも、斎藤知事によるパワハラや企業からの贈答品はあったとの回答が複数寄せらる異常事態となった。
かくして、今回の内部告発は「嘘八百」どころか高い信憑性を持つと考えられるようになり、兵庫県議会は6月、実に51年ぶりとなる百条委員会の設置を議決。今月19日の同委員会では7つの疑惑が徹底追及され、告発文書を作成した職員も証人として出頭することになっていた。ところがその直前に証人が死に追いやられてしまった。
「知事選で無駄なコストの削減を訴えて当選した斎藤知事は、2021年8月の知事就任後、公用車をトヨタの高級車センチュリーからアルファードに切り替え、大きな経費削減ができたと自身の成果をアピールしていました。ところが今回の告発文書では、公用車を降りて20メートル歩かされただけで職員らを怒鳴り散らしたとされています。怪しい贈答品や金の流れも指摘されており、もしこれらが事実なら、すべてはマスコミ向けの『ポーズ』にすぎなかったということになるでしょう。さらに恐ろしいのは、斎藤知事周辺での職員自殺は今回がはじめてではないということ。告発文書によれば、阪神・オリックス優勝パレードで不正の片棒を担がされた担当課長はうつ病になり休職に追い込まれたとされているのですが、その課長もその後自死しているんです」(ネットメディア編集デスク)
今日、斎藤兵庫県知事に対する告発文書を出した元西播磨県民局長が自殺したと報道があった。
私が取材協力をしたhttps://t.co/bVJZ7tScNhの記事に告発文書にもあった阪神オリックス優勝パレード協賛企業への補助金不正を担当させられた職員が休職したあるが、その後自殺している。
これで二人目。 https://t.co/H3yLwJRc0W
— ポストマン#開示請求クラスタ (@postmankaiji) July 8, 2024
嵐・相葉雅紀にもパワハラ仕草、斎藤知事の驕り高ぶり
告発文書によると、斎藤知事は県職員のみならず、外部の企業や団体に対しても当たりが強かったとされる。権力の座に就き、ヒト・カネ・モノすべてを自分の意のままに動かせると勘違いしてしまったのだろうか。知事就任から約1年が経った2022年10月には、なんとあの嵐・相葉雅紀を侮辱する「暴言」を吐いている。