暗殺未遂を奇貨に団結強めるトランプと共和党の不安
状況証拠としては、トランプと共和党の動きにやや不自然な点があります。
今回、本稿進行中の15日(月)からウィスコンシン州のミルウォーキーで共和党の全国大会が開催されるわけですが、トランプは軽傷であったこともあり、一切スケジュールは変えないとして、すでにミルウォーキー入りしています。
そのトランプは「今回の事件で自分のスピーチはほぼ全面的に書き換えることになった」としています。また、共和党大会には最後までトランプのライバルとして立ちはだかった「政敵」ニッキー・ヘイリーが、突如参加して登壇するという発表がありました。
一見すると、狙撃されても生き延びて拳を振り上げ「カリスマ性を倍増させた」トランプを前提に、共和党が団結を図っているように見えます。
ヘイリーなども、そのトランプの勢いを無視できなくなり、2028年の選挙への布石として「トランプとの、いやトランプ支持者との和解」に走ったように見えます。
ですが、もう一つのファクターとして、狙撃犯の動機が保守イデオロギーだったとしたら、これは共和党の団結が十分でないことの証明になってしまいます。
これを打ち消して、改めて共和党の団結を強く誇示しなくてはならないという、「緊急課題」が生まれた、だからこそ、トランプはミルウォーキーへ急ぎ、これを良い機会としてヘイリーはトランプとの「手打ち」に走った、というストーリーも描けるように思います。
ただ、この「狙撃犯の背景が保守」であるかどうかというのは、とりあえず共和党の団結ということを大きく左右することにはならないようです。
「強運とタフネスのトランプ」というイメージが圧倒的に確立されたこと、そのイメージが新鮮なうちに共和党全国大会があるというさらに強運が重なって、とりあえず共和党とトランプは蜜月を深くして戦闘態勢を強化するということには変わりはないからです。









