「あの写真」1枚でトランプ勝利を確信するのは時期尚早だ
さて、現時点で困っているのは民主党の方です。とにかく「血を流しながら拳を振り上げる」トランプのイメージは圧倒的であり、高齢不安が日に日に増しているバイデン大統領との差は大きく開く一方です。
かといって、トランプが元気一杯で共和党全国大会で「党の団結」を歌い上げている一方で、この間ずっと引きずっていた「候補の差し替え」をやるというのも、タイミングが悪いと言えます。
では、トランプ暗殺未遂を受けて、大統領執務室から国民に語りかけたバイデンが「対立から和解へ」というスローガンを浸透させて支持を確保できるかというと、これも可能性は大きくはありません。この演説でも「元大統領」というところを、「元トランプ」と言ってみたり、危なっかしさには変わりはないということもあります。
ちなみに、ジョンソン下院議長などは、バイデンが選挙演説で叫んだ「トランプこそ脅威だ」という「言葉の選び方」が分断を煽ったとして、双方に冷静になれと言いつつ、バイデンを批判しています。
TVは意外とこのジョンソン発言を繰り返し報じていますし、バイデン政権の対応にはこの辺を「気にしている」という気配は強くあります。
ですが、それも今回の事件で大きく変わることはないように思います。と言いますか、今回の事件で確かにトランプのカリスマ性は高まったと思います。ですが、これで選挙の大勢が固まったというのは時期尚早です。3点指摘しておきたいと思います。
1つは、トランプの中道派や無党派層への浸透は、決して簡単ではないということです。どう考えても、トランプの姿勢や世界観というのは、受け入れていない人にはハードルは高いわけで、「拳を突き上げる」写真の説得力があったからといって、これでトランプ票に上乗せがされるというのは、かなり限定的な話だと思います。
2つ目に民主党の事情ですが、これは変わらないと思います。トランプの再選は許せないという立場も、一方で日に日に危なっかしくなっているバイデンをハリスに差し替えたほうが良いという意見も、今回の事件で大きく変化するものではないということです。
3つ目は、時間の経過です。今はトランプ暗殺未遂の余韻が濃厚ですが、時間とともに印象は薄れていきます。また、TMCの政治思想が明らかになれば(FBIは70%のデータを解明したと言っています)また事件の印象は変化してゆくでしょう。その一方で、共和党全国大会が終われば、今度は1ヶ月後の民主党の全国大会が焦点になっていきます。







