トランプの副大統領候補がヴァンス上院議員に決まった意味
ということなのですが、ここで急遽、大きなニュースが飛び込んできました。トランプの副大統領候補が決定したのです。すでに「最終候補」として3名が発表されていたのですが、その中のダーガム・ノースダコタ知事、ルビオ上院議員は「自分には声はかからなかった」と表明していました。
もしかしたらサプライズの人選があるかもという憶測もあったのですが、結局は「最終候補の3人目」つまり、オハイオ選出のJ・D・ヴァンス上院議員が指名されました。
ヴァンス議員ですが、そもそもはアパラチア山系の貧困地区で育った自分の半生を『ヒルベリー・エレジー』というタイトルで書いている人です。
本書は、「忘れられた白人層」を描いた内容が話題となり、特に2016年にトランプが当選した際には、この「ヒルベリー」という人々の怨念が当選を後押ししたというような解説がされてベストセラーになったのでした。
ヴァンス議員自身は、海兵隊に入って奨学金を得て、その後は高い教育を受けることで「貧しいヒルベリー」から脱出したわけですが、その「ヒルベリーの魂」を大事にしているということで、本が高い関心を呼んだのでした。
元々は民主党支持者ですし、真面目に軍務を努めて真面目に勉強した常識的な人だと思います。
ただ、自分の半生記が「トランプ当選」と関係があるという読まれ方をする中で、彼なら大衆の心がわかるというような待望論が出てくるようになり、それに乗っかる格好で連邦上院議員になったのでした。
政治活動にあたっては、かなり意識してトランプ派的な言動を増やすようにしていたのを記憶しています。ですが、中身は常識人で、なおかつ知識人だと思います。
恐らくは、中西部の香りを濃厚に持ちつつ、またトランプ派の過激な保守言動にも十分に付き合ってくれる一方で、東部や太平洋岸の無党派層にも反発を受けないということで、選ばれたのだと思います。
トランプは、前回のペンス副大統領が最終的には「バイデン当選」の手続きに協力して「自分を裏切った」ので、今度は「絶対に裏切らない人物」を副大統領候補にすると言っていました。
ですが、著書から判断する限りは、ヴァンス議員の「中の人」は、相当なレベルの常識を持っており、狂信的な右派思想と心中するかどうかは分かりません。









