【経済スパイ事件】ロシアが狙うアメリカへの対抗措置はリーマンショックの再現

小川和久© Galina Barskaya - Fotolia.com
 

ロシアの対抗措置はリーマンショックの再現?

『NEWSを疑え!』第368号より一部抜粋

米国ニューヨーク州南部地区連邦検事局は1月23日、自称・ロシア対外経済銀行員エフゲニー・ブリヤコフ(39)、ロシア通商代表部員イーゴリ・スポルイシェフ(40)、国連ロシア政府代表部員ビクトル・ポドブヌイ(27)を秘密に訴追した。

この3人の容疑は経済スパイ容疑で、一見、ロシアのスパイ活動のお粗末さを示しているようにみえる。しかし、訴追状によると、3人は米国の金融市場を大混乱させるために使える情報を入手しようとしており、関係機関に大きな衝撃を与えた。

米国の法律は、在米外国人が母国のために活動する場合を含め、何人も司法省に届け出ずに外国政府のエージェント(代理人、工作員)として活動することを禁止している。

ブリヤコフ氏はこの容疑で、スポルイシェフ氏とポドブヌイ氏は、この法律を破ることをブリヤコフ氏と共謀した容疑で、訴追された。スポルイシェフ氏とポドブヌイ氏は外交特権をもっていたが、米国外に逃亡し、ブリヤコフ氏だけが1月26日に逮捕された。

外交特権のある身分の工作員は、ロシア側の用語では「合法工作員」、米国側の用語では「公式偽装工作員」という。ブリヤコフ氏のように、外交特権がないかわりに、本国政府が関与を否定することができる身分の工作員は、ロシア側の用語では「非合法工作員」、米国側の用語では「非公式偽装工作員」という。

合法工作員は比較的容易に発見されるので、ソ連国家保安委員会(KGB)は、西側に派遣した非合法工作員を、合法工作員に接触させないことで、相手国に監視されないようにしてきた。

ところが訴追状によると、非合法工作員ブリヤコフ氏と合法工作員スポルイシェフ氏は、2012年から14年の間にニューヨーク市内で数十回会ったところを、米連邦捜査局(FBI)に監視されていた。スポルイシェフ氏とポドブヌイ氏は、マンハッタンのロシア対外情報庁(SVR)施設で、ブリヤコフ氏が集めた情報について会話しているところをFBIに傍受された。

print
いま読まれてます

  • 【経済スパイ事件】ロシアが狙うアメリカへの対抗措置はリーマンショックの再現
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け