もはや中東地域を抑える力を持たない欧州各国
イスラエルとハマスの間の間接交渉がほぼ瓦解したと思われる今、これまで仲介の労を担ってきたエジプトとカタールはプロセスから脱落する可能性が高く(すでにカタールのムハンマド首相兼外相は「折衝の片方の責任者が殺害されるような事態において、どうやって話し合いを続けるというのだ?」と後ろ向きの発言をしています)、アメリカもそのイスラエル寄りの姿勢から中立な第3者としての立場を取れないばかりか、ネタニエフ首相がバイデン大統領の助言に耳を貸さないという現実に直面して、今後、国内における対イスラエルの関係見直しの声にも押されて、突如、イスラエルに背を向けて責任放棄するような事態になれば、多方面に戦端が開かれた戦闘が激化し、一気に地域に広がり、中東を不安定化させ、どんどん戦火が他地域に飛び火するような状況になりかねません。
ハマスは最近鎮静化してきたと見られてきましたが、ハニヤ氏の殺害を受けてイスラエルへの攻撃を再度強化する可能性が高いですし、ゴラン高原での爆撃事件とベイルートへの報復攻撃を受けて、ヒズボラも他の親イラン組織と共にイスラエルへの攻撃を本格化させることになるでしょう。
もしそこでイランが本格的な攻撃をイスラエルに仕掛け、それにアラブ諸国が同調するか黙認するかという状況になれば、一気に周辺地域も巻き込んだ火の海になる可能性が高まります。
欧州各国にはもう抑える力はありませんし、アラブ諸国の中にも単独でイスラエルと対峙し、混乱を治めることが出来る力がある国は見当たりません。
(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年8月2号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)
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