友軍か占領軍か腫れ物か?米軍ヘリ不時着で露呈した「日本の大矛盾」…保守も左派も大人になれぬ我が国安全保障上の重大懸念

 

日本の「親米保守」すら在日米軍の足を引っ張っている現実

では自衛隊や在日米軍の応援団であるべき保守派はどうかというと、彼らも問題を抱えています。

具体的には、歴史認識において枢軸日本の名誉を回復しようという無謀な心情を隠さないことであり、これに加えて必要以上に近隣諸国との協調を壊そうとしていることです。さらに一部には核武装論を語るグループもあります。

この姿勢はアメリカの利害と対立するだけでなく、日本を孤立と破滅に追いやる危険思想に違いないと思います。日本という20世紀的テクノロジーの得意な国が核武装するようですと、NPT体制は瞬時に崩壊して人類の生存の危険は一気に高まるからです。

けれども、そのような、日本の「保守派」の主張は「在日米軍が瓶の蓋」となる中での「瓶の中の人畜無害な国内向けの議論」だとみなされ許容されてきたわけです。

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キッシンジャーは、日本の軍事大国化を心配する毛沢東と周恩来に対して、「在日米軍が抑えを利かすから大丈夫」だと説明したそうですが、けれども、地域の環境が厳しくなる中ではそのような甘えは許されないと思います。

例えば核武装については、トランプは「米軍の駐留経費を全額払わないなら、日韓から米軍を引き上げる。その代わり日韓には核武装を認める」などと無茶なことを言っていますが、これがアメリカの国家意思では「ない」ことは明白です。

3点の問題提起をしてみましたが、全体としては「右も左もやっつけろ」的な議論のための議論に聞こえるかもしれません。けれども、その奥にあるのは恐ろしい一つの事実です。それは、在日米軍にとって日本国内には本当の味方は少ないということです。

在日米軍を歓迎する「親米保守」は、心情的には枢軸日本の名誉回復を望み、中国や韓国との必要以上の関係悪化を厭わない勢力を抱えています。

一方で在日米軍を忌み嫌う左派は、同時に米軍抜きの地域安全保障の青写真を全く持っていないのです。

つまり、在日米軍にとっては自分たちを歓迎しつつ足を引っ張る勢力と、歓迎しないくせに自分たちに依存している勢力があるだけで、真の理解者はいないことになります。

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