激怒のプーチン。ウクライナの越境攻撃でメンツを丸潰れにされた独裁者が加える激烈な報復

 

次々とウクライナ戦争の停戦仲介から身を引く有力国

さらにロシアとウクライナの間を取り持ち、部分停戦に持ち込む交渉を水面下で仲介していたカタール政府も「今回の越境攻撃によって交渉への機運は吹き飛び、すべてはまたゼロに戻ったか、マイナスの状態になったと思われる」と失望感を示したうえで、「カタールとしては、現状ではこの案件にこれ以上力を注ぐことは現実的ではなく、イスラエルとハマスの案件に注力すべきだと考えている。もちろん、こちらも決して容易なことではないが」と仲介の停止を示唆しています。

仲介に意欲を示していたトルコも、中国も、今回の越境攻撃を受けて「今は停戦に向けた話し合いをするタイミングではない。せっかくの機会をウクライナが潰してしまった」と考え、ロシア・ウクライナ戦争から一旦距離を置く選択をしているようです。

そのような時に、私にとってサプライズはインドのモディ首相が近くキーウを訪問してゼレンスキー大統領と会談するというニュースですが、いろいろと情報収集を試みてみたところ、目的は「インド政府が考える出口の在り方について伝え、その方向性にウクライナが沿うことが出来るのであれば、モディ首相自らが仲介の労を担うオファーをすること」が含まれているということです。

ロシアと親密な関係があり、プーチン大統領も一目を置く存在のモディ首相が仲介に乗り出せば何かしらポジティブな解が見つかるかもしれませんが、今回の越境攻撃を受けてロシア側の態度が硬化しており、ウクライナへの厳しい報復を後押しするロシア国民の世論の高まりにより、ロシア側は「交渉のための窓口は閉めない」と強調するものの、「交渉するにしてもon Russia’s terms」という強い姿勢をさらに強めていると思われることと、アメリカの後ろ盾とバイデン大統領の空約束を受けて「まだロシアを押し返せるのではないか」とゼレンスキー大統領が信じているらしいこともあり、インド政府は「オファーはするが、高い期待はしていない」という見解を示しています。

ロシアとウクライナの戦いはまさに泥沼化し、ずるずると長期化する背後で、ウクライナ側のNATO諸国からのサポートが先細りし、時間が経つごとにウクライナが窮地に追い込まれるのではないかと予想します。

では中東情勢はどうでしょうか?

――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年8月23号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録下さい)

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