激怒のプーチン。ウクライナの越境攻撃でメンツを丸潰れにされた独裁者が加える激烈な報復

Yerevan,,Armenia,-,1,October,2019:,Russian,President,Vladimir,Putin
 

ロシア領内への越境攻撃という大胆な作戦に出たゼレンスキー大統領。多くのメディアが「大きな賭け」と報じていますが、はたしてウクライナにとってこの賭けは「吉」と出るのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、越境攻撃に対するNATOや各国の反応を分析。その上で、ウクライナにとっての「明るくない未来」を予想しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:メンツをつぶされたロシアとイラン‐危険な賭けに出たネタニエフ首相とゼレンスキー大統領の狙いとは?

「罪人は厳しく処罰されなくてはならない」。ウクライナの越境攻撃に激怒のプーチン

メンツをつぶされたロシアとイラン‐危険な賭けに出たネタニエフ首相とゼレンスキー大統領の狙いとは?

「もうこれで今後何が起こるか予測できなくなった。ゼレンスキー大統領もネタニエフ首相も何を狙っているのだろうか?」

これは報じられていませんが、イスラエルとハマスの紛争と同時進行で、ロシアとウクライナの間での部分停戦の交渉を仲介していたカタールのムハンマド首相兼外相とその周辺が漏らした“本音”です。

事態のエスカレーションが大きく懸念されるロシア・ウクライナフロントと、イスラエルとハマスの終わらない戦いの両面において、ウクライナはロシアに対して、イスラエルはイランに対して、共に相手国が許容できないような軍事的挑発行動を行い、両首脳の面子を潰すという大きくかつ危険な賭けを行いました。

ロシアもイランも大規模な報復攻撃を公言し、その内容によっては地球規模での破滅に繋がりかけない状況を生み出しかねませんが、ロシア・ウクライナ戦争と、イスラエルとイラン・ハマス・ヒズボラの“戦い”は、今後の国際情勢の行方を左右しかねない極めて危険な状態を生み出しかねません。

ウクライナによるロシア・クルスク州への越境攻撃は、ウクライナを支援するアメリカ政府に対してさえ事前に協議されていなかったようですが、この危険な賭けを行うことによってモスクワに対して刃を向けることに繋がり、かつロシア国民に戦争をさらに身近に意識させることに繋がったことは間違いありません。

しかし、ロシア国民に厭戦機運を生み出し、プーチン大統領に対する支持を揺るがせるということを狙いにしたのであれば、攻撃対象にされたクルスク州の住民を除けば、あまり効果が出ていないようで、「ロシアに対して攻撃を加えるとは何事か」と非常に身勝手な心境を拡大し、ゼレンスキー大統領の狙いとは逆に、プーチン大統領によるウクライナ破壊を支持する勢力の拡大に繋がるのではないかとの分析も多数存在します。

今後、ウクライナの“快進撃”を継続するためには迅速な欧米諸国からの追加軍事支援と、ウクライナがずっと要求している長距離射程の兵器の対ロ攻撃使用の許可がNATO諸国から行われる必要がありますが、8月6日の越境攻撃以降、NATO諸国からはあまり前向きな情報は聞こえてきません。

また最近、やっとF16がウクライナに引き渡されていますが、20機弱の供与でロシアの航空部隊に対峙するのは現実的ではないと考えられるため、F16の配備は、まだ象徴的なものにすぎないと思われます。

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