NHK内に中国へ重要情報をリークするスパイがいる「証拠」
このように、わずか20秒ほどの放送ジャック事件について、何度も新たな発表を繰り返すこと自体が異常ですが、すでにこのスタッフは中国に帰国してしまったようで、すると、損害賠償にしろ刑事告訴にしろ、何の意味もなくなってしまったのではないでしょうか。しかも、このスタッフは中国ではヒーロー扱いです。
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靖国神社への落書きにしろ、日本で犯罪を犯して、すぐ中国に逃げるというパターンが定着してきたようにも思えます。何らかの手を打つ必要があるでしょう。
それともう一つ、今回の放送ジャック事件で気になったのは、中国政府の動きです。NHK会長が中国人スタッフの損害賠償と刑事告発を検討していると述べたその日、中国外務省の報道局長が定例会見で、昨年から中国当局に拘束されているアステラス製薬の日本人男性をスパイ容疑で起訴したと発表したのです。
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起訴自体は、8月中旬に決定していたそうですが、それを22日に発表したわけです。
近年、中国は「人質外交」を繰り返しています。よく知られたもので言えば、2018年12月、カナダで中国ファーウェイの副会長兼最高財務責任者・孟晩舟が逮捕された直後、中国を訪れていたカナダ人2人がスパイ容疑で逮捕・拘束されたことがありました。約3年後に孟晩舟が司法取引で釈放されると、このカナダ人2人もすぐに開放されるという、典型的な「人質外交」でした。
アステラス製薬の社員については、すでに拘束され、8月中旬に起訴されたわけですが、その発表タイミングと、中国スタッフの放送ジャック、そして刑事告訴という言葉がNHK会長から出るタイミングが、同日であったことは、単なる偶然なのでしょうか。
NHKが中国人スタッフへの損害賠償や刑事告訴の方針を決定したのは、資料作成などの関係上、少なくとも自民党情報通信戦略調査会が開かれた8月22日の前日以前でしょう。
その方針と発表タイミングが中国側に伝わり、NHK会長が刑事告訴も視野に入れていると述べたその日に、アステラス製薬社員の告訴を発表することで、日本への揺さぶりをかけてきたとも見ることも可能です。つまり、NHKの刑事告訴方針が、発表前に中国側に伝わっていて、あえて同日発表をした可能性も疑われるのです。
そうであれば、NHK内に、中国へ重要情報をリークするスパイがいることになります。すでに放送ジャック事件が起こっているのですから、その可能性は否定できないでしょう。
事件を起こした中国スタッフが中国に逃れた今、中国共産党の浸透工作の実態も含め、その背景を本人から直接探ることは不可能に近くなってしまいました。そうなると、局内スタッフの精査も含め、広範囲の調査が必要となってくるのではないでしょうか。
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