わずか20年足らずで25%以上も激減している日本の中小企業
竹中氏は最近こういう発言をよくしています。
「日本には中小企業が多すぎる」
「しかし補助金などによって延命されているので淘汰が進まない」
「日本の中小企業は生産性が低く日本全体の生産性を下げている」
「日本の中小企業は大幅につぶすべき」
この発言を聞くだけで、彼が経済学者としていかに愚かかがわかります。
彼は、中小企業の実態に対する認識そのものが誤解だらけなのです。
というのも、日本の中小企業は決して他国に比べて多すぎるものではないし、また補助金で助けられているというのも、大誤解なのです。
竹中氏がいかに表面的な数字しか見ることができていないか、順に説明しましょう。
まず「日本の中小企業が多すぎる」という誤解について、ご説明しましょう。
日本には2016年時点で約359万社以上の企業があり、その99%以上が中小企業です(中小企業白書より)。
竹中氏はこの数字だけを持って「日本は中小企業は多すぎる」と思っているのです。
アメリカの企業数も400万社程度であり、日本はアメリカの3分の1の人口なので、これだけを見ると確かに日本の中小企業は多すぎるように見えます。
しかし中身をちょっと分析すれば決して多くはない、むしろ少ないということがわかるはずです。
というのも日本の中小企業の中には、実質的にフリーランスや個人事業主がかなり含まれるからです。
日本では法人登記が簡単にできるため、フリーランスの人や自分一人や家族だけで事業をしている人も、会社として登記しているケースが非常に多いのです。
だから日本は零細企業の割合が非常に多く、企業全体の80%以上を占めるのです。
その一方で、日本では個人事業者、フリーランスと分類される人の数は非常に少ないのです。
日本で個人事業者として税務申告している人は、わずか180万人しかいないのです。
アメリカでは、個人事業主、フリーランスは、7,000万人いるとされています。
この7,000万人には副業や複数の事業をしている人も含まれていますが、専業の人だけでも4,000万人程度いるとされているのです。
つまり、アメリカでは、中小企業の数はそれほど多くはないけれど、フリーランスの数は日本よりはるかに多いということです。
中小企業とフリーランスの数を合わせれば、日本の10倍以上になるのです。
また最近、日本をGDPで抜いたドイツは、企業数が約350万社、フリーランスが約140万人おり、合わせると500万近くになります。
日本の企業数、フリーランスの合計とほぼ同じか少し多いくらいです。
が、ドイツの人口は日本の7割しかないので、人口比で見るとドイツの方が企業数、フリーランス数はかなり多いのです。
多少のばらつきはありますがほかのヨーロッパ諸国もだいたい同じ傾向であり、日本よりも企業やフリーランスの割合が少ないという国はあまり見当たりません。
さらにお隣の国、韓国の場合は、企業数は約770万社、個人事業者は約550万人です。
日本よりもはるかに多いのです。
総じて言えば、日本の中小企業数は、フリーランスの状況を加味すれば決して多いとは言えず、むしろ先進国の中では少ないのです。
しかも日本の中小企業数は、昨今、急激に減少しています。
1999年には約485万社あったのに、2016年には約359万社になっているのです。
わずか20年足らずで25%以上も激減しているのです。
だから「日本の中小企業は多すぎるので淘汰すべき」というのは、根本の現状認識が間違っており、むしろ日本の中小企業は守らなくてならない状態なのです。
竹中平蔵氏は、相変わらず的外れというか「日本が行くべき道の反対」をすすめる人物なのです。
この記事の著者・大村大次郎さんを応援しよう









