自民党保守派が“売国ムーブ”を繰り返した情けない理由
自民党には保守派というのがあって、以前は安倍晋三氏の求心力に群がる人々がそうであったとか、その継承者は高市氏やコバホークなどという話が賑やかにされています。では、その「保守」というのは何なのでしょうか。
表面的には、地方の名望家、つまり明治以降の新興経済人などが持っている独特の土着性を尊重するということがありそうです。大戦の戦没者を「英霊」として神聖視し、従って東条以下の対米英戦争を批判するのではなく擁護する、そんな立場です。それが絶対的に正しいのではなく、そのような心情が政治的求心力になるという計算がそこにはあるのだと思います。
さらには、伝統的な社会価値観の擁護ということもあります。LGBTQ擁護は「国柄を変える」からイヤだとか、女性管理職を認めず、大卒でも女性にはお茶くみを強制し、そのくせ自分の娘には留学させて別の世界での活躍をさせる的な感覚もありそうです。
いわば、文化や価値観における原理主義であり、イランの革命思想やアフガンの一夫多妻、パキスタン北部の名誉殺人などと類似の保守性がそこにあるのだと思います。そうした保守心情というのは、困ったことに労働慣行の前近代性や、DXや準英語圏入りに反発するビジネス面での非生産性と重なっています。
ここへ来てハッキリしているのは、アベノミクスの「第三の矢」というのは、実は矢じりがついていない、つまり射たれることのない矢であったということです。先端技術の展開や国際化など、「国柄が変わってしまう」ことは国内ではやらずに、空洞化させて海外に持っていく、その結果としての海外での収益を最大化するために「円安」があるという全体構造があったのです。
この点において、自民党保守派が異常なまでに「グローバリズム経済にフレンドリー」であったことの説明がつくわけです。国内の生産性向上はやりたくない、何故なら地方の名望家はライフスタイルの変更もマネジメントスタイルの変更も望んでいないから、というのが前提にあります。だからこそ、経団連企業は多国籍化して国内は空洞化させても仕方がない、でも円安にすれば円建て収益は極大化できるというわけです。
民族資本が改革をしようとすると潰す、検索エンジンは違法、AIは著作権侵害、流通改革は阻止、というのも同じです。地方の名望家が持っている、現在の既得権益を壊すものは排除したいからです。そのくせ、GAFAMが日本市場を蹂躙するのには全くお構いなしであり、それは地方名望家は黒船には対抗しないからです。









