一気に高まる「ウクライナがロシアに飲み込まれる」恐れ
ドイツでは地方議会選挙で移民の阻止を訴える極右政党のAfD(ドイツのための選択肢)が大躍進をしたことで、今後、ショルツ首相とその政権は、高まるドイツ人の不満と不安の声に応えてこれまで以上にウクライナ支援から距離を置くことになるでしょうし、レオパルト2戦車の追加投入や、ウクライナが求めるタウルス(ミサイル)の供与に対してはこれまで以上に否定的になると予想できます。
英国も新政権の下、これまでの支援を見直し、さらにはゼレンスキー大統領が求めるシャドーストームミサイルをロシア領への攻撃に用いる承認を拒否する構えを見せているため、次第にウクライナ戦線から距離を置き始めるものと思われます。
そしてそのような時に張り切りがちなフランスのマクロン大統領も、最近ではウクライナ情勢に対する目立った発言もなく、ウクライナによるクルスク州への越境攻撃について事前に協議を受けていなかったことに激怒し、ウクライナと距離を置きつつ、ロシアのプーチン大統領との“特別なライン”を用いて関係修復に乗り出しているという情報も入ってきています。
そしてアメリカでは、11月の大統領選挙でどちらの候補が選出されたとしても、ほぼ確実にウクライナへのコミットメントを一気に低下させるか、またはキャンセルする可能性が考慮され始めており、もしそうなった場合には、アメリカや欧州各国の支援が得られないまま、散々煽りまくったロシアにウクライナが飲み込まれる恐れが一気に高まると思われます。
ゆえにゼレンスキー大統領がいう「ロシアを停戦合意の場に引きずり出す」とか、「クルスク州とドネツク州をバーターで交換する」という計画・思惑は、恐らく儚い幻想に終わることになり、仮にどこかのタイミングで停戦協議が行われても、そこではウクライナは発言権がなく、ロシアの条件を呑むか否かという状況に追いやられる最悪のシナリオもあり得るのではないかと恐れています(前出のアメリカの政府高官曰く、「たとえは最悪だが、ガザ情勢に関する仲介交渉におけるハマスのように、ウクライナ政府は直接停戦協議に参加させてもらえないような状況になることもありえるのではないか」とのことでした)。
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