最近では、日本のテレビCMでも見る機会が多くなった中国産の自動車BYD。そのBYDのサブブランド「方程豹」(fangchengbao)は現地で販売低調のようです。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』は今回、そんなBYDの「方程豹」中大型SU PHEVに、ファーウェイのADAS(先進運転支援システム)を搭載すると発表したことを紹介しています。起死回生の一歩となるのか注目です。
BYD「方程豹」がファーウェイADAS採用、「豹8」から搭載へ
BYDの「方程豹」とファーウェイはそれぞれの本拠地である広東省深セン市でスマートドライブに関する協業協議を締結した。
「方程豹」の第二弾として準備されている中大型SU PHEV「豹8」にファーウェイのADASブランドである「乾崑」ADS3.0を搭載する。
BYDとファーウェイの両トップが出席して調印式が行われた。
特に自動車分野において、ファーウェイのトップが出席するのは珍しく(通例は自動車事業トップが参加)、両者の今回の協業の力の入れ具合が分かる。
予想外の協業
一部予想され、一部予想できなかった今回の協業。
ファーウェイに助けを求める自動車メーカーやブランドは多くなるだろうとはちょうど予想していたところ。
方程豹であれば納得感
一方で、全体的に好調なBYDだが、サブブランドは今一つ、特に「方程豹」は当初予想を大きく下回る低調ぶり。
「方程豹」はまだ元気なもう一つのブランド「騰勢(DENZA)」と合併するのでは、と考えていた。ただし、DENZAはまだ形上、メルセデス-ベンツの資本が入っており、実際には調整は難しい。
BYDが引望に出資も?
界シリーズの「鴻蒙智行(HIMA)」や、長安の傘下のハイエンド新エネルギー車(NEV)ブランド「阿維塔(AVATR)」などのサプライヤーであるファーウェイ傘下の引望の資本戦略が進む中、ファーウェイに助けを求める最初のメーカーがBYDになるとは思ってもみなかった。
しかし、それがサブブランドで低調の「方程豹」だとなれば納得感がある。
逆に言えば、BYDのフットワークの軽さ、俊敏な動きが光る。BYDが中国市場の王者になっているのは偶然ではない。
引望は当然ADAS分野も各社に供給しており、BYDが今後引望に出資する、ということさえあり得る。
ADASに弱みがあるBYD
そもそもBYDはADAS分野を強みとしてこなかった。
一度は注力しようとしたが、取りやめ、最近改めて自社開発を進める動きを見せるなど、BYDにしては珍しく一貫性がない動きだった。
そこでまず「方程豹」にファーウェイの技術を搭載として試してみる、というのも今回の狙いかもしれない。
もしそれがうまくいくのであれば、BYDそのものや他ブランドへの展開も見えてくる。当面自社で開発する必要もなくなり、ファーウェイと蜜月でやっていく、という可能性すらある。
豹8は24年10月以降販売
今回のプレスリリースによれば、BYDとファーウェイは長期にわたって「豹8」へのADS3.0搭載を共同研究してきており、実証実験中だという。
2024年10月以降、ADS3.0搭載「豹8」の販売が始まるという。「方程豹」低調の主因、初弾「豹5」の影はますます薄くなっていきそうだ。
出典: https://mp.weixin.qq.com/s/1vtun2CdIftoeb7nwEF2QA
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