なぜ、そんなにも多くの知的障害者が働けるのか?答えは実にシンプル。パラリンピックのルールと同じです。「仕事に人を合わせる」のではなく「人に仕事を合わせた」からです。
日本理化学工業の近くに養護学校があり、先生が「働かせて欲しい」と会社を訪れたのがきっかけでした。社長も社員も「知的障害者に仕事なんてムリ」と、ひたすら首を横に振り続けましたが、最後は先生の熱意に根負けし、「期間限定の業務実習」で少女を受け入れることになりました。
知的障害のある少女は、ものごとを理解するのに時間がかかりますが、社員が一つひとつ丁寧に教え、納得できると、きちんと仕事をすることができました。
少女たちは覚えた仕事(シール貼り)をとても楽しそうにやるので、もう少し高度な仕事を教えようとするのですが、彼女たちには「数字」という概念がないため「5グラムずつ測る」とか、「10分たったら止める」という作業がどうやっても理解できません。
そこで「数字を色に変えればいいんだ!」という社長のひらめきで、彼女たちが理解できる色で分量を分け、時計を砂時計に変え、仕事に人を合わせるのではなく「人」に仕事を合わせることで、少女たちは高度な作業もこなせるようになったそうです。
多様性のある社会、すべての人に能力発揮できる機会がある社会は、「人」が「人」のために知恵を絞ることでしか実現しません。今の社会に足りないものは何か?みなさんのご意見、お聞かせください。
この記事の著者・河合薫さんのメルマガ
image by: 日本理化学工業 公式HP
ページ: 1 2