進次郎に騙されるな。京大教授が激怒「年収の壁撤廃論は低所得者をターゲットにした“大増税”だ」

 

血も涙もない「鬼提案」でしかない進次郎氏の「年収の壁」撤廃論

まず、この話は、進次郎氏が記者会見で配布した資料に次のように書かれています。

「年収の壁を撤廃。働いている方には原則厚生年金が適用されるように制度を見直す」

当方はこれを見て、心底仰天してしましました。ただ、一般の人はこれが如何に酷い話なのかは分からないのではないかと思い、この文言を見せ、どう思いますか、と聞いたところ

「壁がなくなるなら,いいんじゃない?」
「厚生年金の制度の幅も広がってなんか良さそうに思うよ」

という反応ばかり。しかし、それは完全な嘘。

結論から言うと、進次郎提案は、「いままで低所得だから厚生年金の支払いが免除されてた人からも、一律に厚生年金をむしり取るようする」と言う、ただ単なる「低所得者をターゲットとした『大増税』」なのです(なお、以下では保険料支払いも政府にオカネを払うという意味で納税と同じだという主旨で、「税」という言葉を使って解説します)。

(注:勿論、年金は厳密に言えば税ではありませんが、国民から吸い上げるカネなわけですから、広く言ってそれは“税”と解釈することもできます。そして実際、北欧諸国では税と保険料の区別はなく、基本的に全て税と呼ばれています)

もう少し詳しく解説しましょう。

まず、「収入の壁」というのは、厚生年金は年収106万円以下の人は払わなくてもいいとなっていたから生じているもの。つまり、年収が106万円を超えれば、一気に厚生年金を払わないといけなくなるので、手取りが減ってしまう、という現象を「収入の壁」と呼んでいるのです。

で、この壁を撤廃するには,普通は、106万円を超えた人から吸い上げる年金額を小さくするとか、所得が減った分プラスαを補助金で補填する…などが一般的な対策なのですが、進次郎氏の提案は、恐るべき事にその真逆の対策。

進次郎氏は驚くべき事に、「低所得の人が年金免除されてるから壁ができてるだけじゃんか。だったら、低所得の人に対する、年金の免除やめちゃえばいいじゃん」という、血も涙もない鬼提案をしているのです!

年収100万の人なら9万1,500円もの大増税となる進次郎氏の提案

その結果どうなるかというと、106万円以下の人、例えば、年収100万円くらいの人は、進次郎提案が通れば、年収の9.15%、つまり、年間9万1,500円も、政府に余分に吸い上げられる事になるのです!

100万円の所得の人にとって、9万1,500円というのは大金!それだけのオカネが、進次郎が総理になってしまえば、僅か「1年」で政府から半永久的に吸い上げられ続ける事になってしまうのです!

しかも、進次郎のこの年金改革で被害を受けるのは、低収入労働者だけではありません。

彼らを雇っている「企業」もまた、同じ金額の被害をうけるのです!

というのも、厚生年金というのは、労働者が支払った年金と同じ金額だけ、会社側(雇い主側)も支払わないといけないのです。

厳密に言うと、厚生年金は、労働者の賃金の18.3%を、会社と労働者が折半で張らないといけない、という仕組み。つまり、100万の賃金の人の場合、9万1,500円を会社と労働者の双方が払わないといけない、という仕組みなのです。

別の言い方をすると、100万円の労働者が一人いれば、小泉年金改革をやれば、それだけで政府は18万3,000円も余分に国民からカネを吸い上げることができる、という次第。

凄まじい大増税ですね(涙)。

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