今後さまざまなモラル崩壊がさらに発生してくる中国
中国がいくら豊かになってもこのような事件がなくならないのは、中国が相互不信社会であるからにほかなりません。清朝末期に中国で20年以上にわたり布教活動を行ったアーサー・スミスは著書『中国人的性格』で「相互不信」に1章を割いています。
同時期、中国や朝鮮、日本を旅したイザベラ・バードも、貧しい日本人が義理堅く、盗みもしないことを、中国人との比較を用いて、驚きをもって伝えていますが、相互信頼社会で治安のいい日本に対して、中国ではつねに安心ができない状況にあることが見て取れます。
被害額ベースで世界の自然災害の2割弱が日本に集中しているほど、日本は自然災害大国です。それだけに、相互信頼は自分の命を守るためにも不可欠です。相手からいつ寝首を掻かれるかわからない不安にあっては、災害における相互扶助などできるはずがありません。
魏志倭人伝には日本の様子について「人はすこぶる恬静なり。争訟は罕(まれ)にして盗賊少なし」と書かれていますが、厳しい自然環境から、人間同士の争いごとが少なくなり、助け合いの精神が生まれたと考えられます。
一方で中国は戦乱のない世はなく、「一治一乱」(統一と分裂)とが世の常でした。地上の資源を求めて争いが起こり、それに打ち勝った者が皇帝として君臨するものの、資源分配をめぐって内紛が起こり天下が乱れ、地方からも資源強奪勢力が台頭し、やがて朝廷が滅んで新たな皇帝が立つという「易姓革命」が繰り返されてきました。
そのため、北宋の太宗は、日本の留学僧・奝然(ちょうねん)が日本の皇室が万世一系であることを聞き、「我々の理想を実現しているのは我々ではなく、夷狄の国である日本だ」と嘆いたとされています。
いずれにせよ、中国の相互不信社会は、いくら豊かになっても変化することはなかったわけです。むしろ豊かになればなるほど、格差が拡大し、むしろ富むものと貧しいものの相互不信は拡大してしまったといっていいかもしれません。
しかも現在の中国は言論統制社会でもあります。言いたいことは表立って言えず、密告も奨励され、きわめて息苦しい状況に陥っています。
これに経済の衰退が続くことで、中国ではさまざまなモラル崩壊がこれからますます発生してくるでしょう。各地で子どもなどが襲われる無差別殺傷事件が頻発しているというのも、こうした中国の歴史的民族性に、経済的、政治的、社会的な閉塞感が加わったことにより、大きな歪みが一気に噴出してきた表れではないかと思われるのです。
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