代わりに目立っているのが、議席数を4倍の28議席に伸ばした国民民主党代表の玉木雄一郎氏です。野田氏が本気で政権交代を目指すのであれば、自分の代わりに玉木氏を総理に担ぎ上げてでも野党をまとめるという選択肢もあったと思います。国民民主党は維新と共に「ゆ党」とも呼ばれ、もともと自民党に秋波を送り続けてきました。結局今回も玉木氏からはまったく相手にされていない状況で、文字通りキャスティングボートを握った形の玉木氏から、いいようにあしらわれている印象しかありません。
「政権交代こそ、最大の政治改革」というのはまさにその通りです。自民党は、口先ではさかんに「反省の弁」を繰り返しながらも、実際にはまったく反省などしておらず腐敗し切っています。今回も、裏金問題の首謀者である旧安倍派5人衆の内の4人を始めとした裏金議員たちが18人も当選しました。自民党の岩盤支持層の人たちを含めて、同党に本来の反省を促し、際限なき政治腐敗を止めるためには、一度自民党を下野させて彼らの権力を奪うことが最も効果的です。
今回、その最大のチャンスを得ながら、その願ってもないチャンスをみすみす逃してしまうことしかできない立憲民主党を始めとした野党各党の不甲斐なさには心底がっかりです。
来週11日に予定されている国会の首班指名選挙では、石破氏と野田氏が決選投票に残り、最終的には石破氏が選ばれて少数与党政権が誕生する見込みです。自公が少数与党になったことによって、これまでのように国会を軽視して閣議決定ですべてを決めてしまうような自公の傍若無人は通用しなくなりました。
野党連携による政権交代が見込めないのであれば、せめて国会が与野党の議論の場としての機能回復を果たし、自公の長期政権によってボロボロになった日本の政治が少しでも正常化されることに期待したいと思います。自民党内で党内野党として孤立しながらも正論を吐き続けてきた石破新首相への期待が残るとすれば、党内都合よりも国会での議論を尊重した政権運営による、日本の政治の原点回帰以外にはありません。
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