「デマを信じるのは一部の狂信的トランプ支持者だけ」の誤り
しかし、いくら何でも、こんなデマを鵜呑みにするようなバカは一部の狂信的なトランプ支持者だけで、大半のアメリカ人は、たとえトランプ氏に投票したとしても、それは経済政策などで現在のバイデン政権よりはマシだと考えての一票だったと思っていました。つまり、結果としてトランプ氏が大統領の座に返り咲いたとしても、トランプ氏を支持した国民の大半は、トランプ氏が垂れ流した嘘やデマなどは「選挙戦略の1つ」として受け流した上で、政策面で選択したのだと思っていました。しかし、現場はまったく違っていたのです。
投開票日の翌日の11月7日(木)、文化放送「長野智子アップデート」に電話出演したニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子氏は、激戦7州の中で特に結果を左右する東部ペンシルベニア州の最大都市フィラデルフィアでの取材を、以下のように報告してくれました。
伝統的に民主党支持のフィラデルフィア郊外の街で、最近は共和党支持者が増え続けていると聞いたので、取材に行って来ました。街に近づくとトランプとバンスの看板が並んでいて、トランプ支持が増えていると感じました。
街のショッピングモールや投票所で片っ端から聞いてみましたが、バイデン政権になってインフレで物価が上がり生活が苦しくなったという声が多数でした。アメリカ全体の経済は他国より良く見えますが、それは富裕層だけの話で、中間層から低所得者層は物価高でレストランにも行けないと言っています。アメリカでは経済的な格差が広がり続けているのです。
若い人たちは「自分の親たちは簡単に車や家が買えたが、今のままじゃ自分は車も買えない。家どころか、結婚の約束をしているガールフレンドと同棲するためのアパートすら借りられない」と言っていました。こういった切実な声がとても多かったです。
ま、こうした声が多いのなら、民主党支持から共和党支持に乗り換えた人、ハリス氏よりトランプ氏を選んだ人が増えたことも理解できます。しかし、あたしが驚いたのは、ここから先です。実際にトランプの集会を取材した津山恵子氏は、次のように報告したのです。
トランプの集会に行って驚いたのは、彼が「移民は犯罪者だ!」と言うと、集まった人たちが皆、その言葉をそのまま信じていたことです。トランプには、自分が流す嘘のニュースや偽の情報を信じさせる強さがあり、私はそれがとても恐ろしいと感じました。彼の集会の参加者に質問しても、誰もが彼の流す嘘のニュースや偽の情報を信じ込んでいるので、もう言葉が通じないんですね。
トランプ支持者は彼の流す嘘の情報を信じ込んでいるので、アメリカ人同士でもコミュニケーションが取れず、真っ二つに分断しています。11月の末に家族が集まる感謝祭があるんですけど、それに行きたくないという人たちまで増えているんですね。それは家族が集まった場で政治の話が出れば、トランプ支持と不支持とで論争になり、暗い雰囲気になってしまうからです。家族間でも分断が広がっているのです。
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