火に油を注ぐ“トランプへの置き土産”。バイデン政権が「ウクライナへの核兵器移転を検討」という驚愕の情報

 

米中間に機能している最低限の「ガードレール」の作用

米国内のせめぎ合いは、思わぬ形でこうした緊張を高めているのだが、バイデン政権にとってもう一つの懸案である対中国、台湾海峡はどうなっているのだろうか。

結論から言えば、こちらは「凪」だ。

相変わらず台湾に対する武器の売却は積極的だが、台湾の頼清徳総統によるハワイ立ち寄りにもバイデン政権の対応は抑制的だ。

また習近平政権との関係では、「スモールヤード、ハイフェンス」政策は相変わらずだが、米中間がチャネルを活かして問題を解決するという「ガードレール」の作用では、むしろ進展が見られた。

前者の問題は、半導体だ。中国企業に対する新たな輸出規制の準備をしていると米『ブルームバーグ』などが報じた。しかし、その見出しは、「米政府が対中半導体規制の強化準備、従来ほど踏み込まず─関係者」(11月28日)というもので、逆にトーンダウンを印象付けた。

中国側も外交部と商務部の報道官がそれぞれ、「アメリカが国家安全保障の概念を拡大解釈して、輸出規制を濫用することに反対する」という従来からの主張を繰り返しただけであった。

その一方、大きな注目を集めたのは、アメリカと中国が互いにスパイ罪などで服役している受刑者を釈放するという動きを見せたことだ。

米中ともに、受刑者は無実の罪で拘束されていたと主張していた。

このニュースはアメリカをはじめ各国の報道機関が大きく取り上げた。

釈放されたアメリカ国籍の受刑者は3人。マーク・スワイダン氏、カイ・リー氏、ジョン・レオン氏だ。

写真をみれば明らかなように、3人のうち2人は中国系だ。香港生まれのスワイダン氏(79歳)は、1983年にアメリカに移住してレストラン経営をしていたが、その後FBIの依頼を受け、中国に関する情報収集を行い、去年5月、スパイ容疑で終身刑の判決を受けた。

ニューヨーク出身のリー氏は、中国の秘密をアメリカ当局に渡したとして2016年に逮捕された。

レオン氏は薬物の違法取引に関わったとして逮捕。死刑判決を受けた。

受刑者釈放は米中の政治的な判断で、その合意は習近平国家主席とバイデン大統領が11月に行ったペルーで話し合いの際に結ばれたという。

つまり米中間には最低限のガードレールが機能しているのだ。

アメリカで釈放された中国人受刑者に関する情報は少ない。具体的に名前が挙がっているのは2人。スパイ罪などに問われた中国情報機関の職員・徐延軍と元イリノイ工科大学の学生の季朝軍だ。徐氏はFBIの囮捜査で引っかかった人物とされている。

アメリカ側が釈放した中国人は、米ABCテレビが「計3人」と報じたが、香港TVBは複数人としている。

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