総務省が仕掛けた“ソフトバンク潰し”とも思えるガイドライン改正案に、当のソフトバンク側が異議を唱えています。その理由について今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者であるケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが詳しく解説しています。
スマホの下取り価格設定にソフトバンクが異議—-悪影響を受けるのかiPhoneかAndroidか
「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドラインの改正案」のなかで、特に異議を唱えていたのがソフトバンクだ。
今回のガイドライン改正では、端末購入プログラムにおいて、割賦を均等に支払うような仕組みが提案されている。これまでソフトバンクは、最初の1年や2年の負担額を下げつつ、後半の負担額を増やすことで「月額1円」や「月額3円」といったインパクトのある値付けをしてきた。まさに総務省がソフトバンク潰しをしてきたのだった。
ソフトバンクが突っ込んできたのは、スマートフォンを下取りする際の金額設定だ。ガイドラインでは中古端末事業者が加盟する団体である「リユースモバイル・ジャパン(RMJ)」が提示する金額を基準にすべきとある。
ただ、このRMJが設定する金額に対して「一般的な買取価格といえるだけのシェアを持っているか不明」「オンラインのフリーマーケット市場における取引価格よりも安いため、利用者の利益を損なう懸念がある」などの懸念を示したのだ。
これまでキャリアとすれば、下取り価格を努力して上げることで、ユーザーの負担額を下げ、端末を買いやすくしてきたという背景がある。
ただ、RMJの金額が業界標準になってしまうと、当然のことながら、キャリアの下取り価格は下落する傾向にある。
買い替え需要が多いiPhoneに関しては、4キャリア間での競争がなくなる恐れがある。また、Androidに関しては、そもそも日本固有の仕様があるなど、グローバルで流通しにくいため、下取り価格はどうしても下がりがちだ。以前はOSのアップデートも長期間、保障されないなどAndroidの下取り価格は本当にひどかったが、ここ最近はOSやセキュリティアップデートが長期間、保障されることで、そのあたりは解消されつつある。ただ、明らかにiPhoneに比べると不利であるため、キャリアの努力がなくなると、相当、買い返しにくくなることが予想される。
確かに中古端末をキャリアに買い占められるという点において、中古買取業者が不利になるというのは理解できる。
ただ、キャリアで新品スマホが売れなければ、結果、中古買取市場にも端末は流れてこなくなるのは明らかだ。
なぜ、総務省はそんなにも新品スマホが嫌いなのか。理解に苦しむ。
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