トランプを大激怒させたゼレンスキー「彼は危険だ」発言。米国による「ウクライナ終戦」は現実的なのか?

 

日本にも戦火が及ぶという考えうる最悪のシナリオ

中東情勢についても同じようです。イスラエルのネタニエフ首相にはシンパシーを持つものの、アメリカを再び中東の地に引きずり込もうとしている“誘い”には乗る気は毛頭なく、トランプ政権としては「アメリカの直接介入はしないが、イスラエルが自国の安全保障のために行うことに対しては、それがアメリカの権益を脅かすものでない限りは、黙認する」という形のサポートに留まるのではないかと考えます。

そうなると懸念は、ネタニエフ首相の暴走と、それに一致団結して反攻に乗り出すアラブ諸国、そしてイランによる本格的な対イスラエル報復の実施です。

そして毎度のことですが、中東における紛争の連鎖は、海を渡って東アフリカに広がり、スーダン内紛を一層悲劇に晒し、下手をするとそれがGreat Nile Damの紛争と相まってエジプトに及び、それが中東の紛争の火に油を注ぐような事態になるかもしれません。

またその火はトルコを経由してロシア・ウクライナにも及ぶ可能性が高く、すでに停滞気味の戦況を刺激して再び熱戦化して、コーカサス地域を戦火に巻き込むかもしれません。アゼルバイジャンとアルメニアの緊張もそうでしょうし、South Corridorを伝ってスタン系の国々を駆け抜け、最悪の場合はインド・パキスタンなどにまで及ぶかもしれません。

そして戦火がアジア方面に広がると、北東アジアではロシアのシベリア軍と北朝鮮が何かを始めるかもしれず、その場合、韓国が標的になり、さらには日本にも戦火が及ぶという最悪のシナリオも考えられます。

方向がどちらからくるかわかりませんが、もし先に中国による台湾への威嚇が何らかの偶発的な衝突に繋がり、それが武力衝突を引き起こすようなことになると、北東アジアに対して南からも火の粉が降ってくるかもしれません。

そうなると、北半球全体を巻き込む大きな戦争に発展してしまうかもしれません。

あくまでも最悪の事態を想像した内容になってしまいますが、「誰がいつどのようなことを始めるか」の内容次第では、この最悪の連鎖が引き起こされる可能性は否定できません。

いろいろなことがあと3週間から1か月後には見えてくるものと思われます。

2025年は奇跡的にすべての大紛争が停止するか終わり、久々の“平和”が訪れる素敵な一年になるか?

それとも戦争の連鎖が引き起こされ、世界の多くを悲劇に巻き込むような“恐怖の一年”になるか?

期待と不安を織り交ぜながら、今年最後のコラムといたします。

以上、国際情勢の裏側のコラムでした。

(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年12月27日号より一部抜粋。全文をお読みになりたい方は初月無料のお試し購読をご登録ください)

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