トランプを大激怒させたゼレンスキー「彼は危険だ」発言。米国による「ウクライナ終戦」は現実的なのか?

 

「24時間以内に戦争を終わらせる」という発言の裏

正直、欧州各国は役に立ちません。ドイツは2月に政権交代が確実視され、政府として機能するまで、連立協議などで時間を要するため、早くてもGWくらいまでは動きが取れません。

フランスは、マクロン大統領がまだいますが、国内での影響力に陰りが出てきており、マクロン大統領は自分のプレゼンスを示すために海外案件に口を出すものの、実際には身動きが取れず頼りにできません。

英国はスターマー政権になり、少し安定感が出ているという分析もあるのですが、盲従的にアメリカの施策に追随してくれる以外は頼りにならず、他国を動かすほどの影響力も発揮してくれないのが実情でしょう。

イタリアは、レバノン絡みの案件でイスラエルと“戦って”おり、イスラエル絡みでのディールには、それがネタニエフ首相を懲らしめるようなことにならない限りは、乗ってくれませんし、何か即応性を求められるような合意が出来ても、イタリアには、知っている限り、即応性はありません。

それに加え、欧州各国は、中東案件(地中海案件)には懸念と関心はあるものの、より大きな敵と脅威がロシアの動きであり、ロシアを利し、ロシアに余力を蓄えさせるようなディールの片棒を担ぐことにはアレルギーが出る可能性があります。

かといって、欧州各国はもうウクライナを政治的にも経済的にも、また軍事的にも支え続けることは出来ず、口は出しても結局何もせず、責任も取らない欧州の状況が強まっているように思います。

そうなるとどうなるか?

それは、幸か不幸か、どれだけアメリカ、特にトランプ政権が本気になって戦争をおさめる手伝いをし、デリケートな停戦状態を監視して維持する気があるかどうかにかかってくることになります。

実際にはどうか知りませんが、これまでのトランプ氏の発言と、前政権時の行動を見ていると、アメリカによる海外でのコミットメントを増やすという方向には進みづらく、思考は国内、つまりアメリカ・ファーストになるため、あまり期待を持てないように思います。

また「24時間以内に戦争を終わらせる」という発言の裏には、アメリカを戦争には関わらせないという意図があるように感じ、バイデン政権下でアメリカのリソースを著しく消費する戦争へのコミットメント(直接ではないにせよ)には、バイデン政権と逆のことをしたいという思考からも、関わらない気もします(ちなみに、バイデン政権下での“コミットメント”が、アメリカの軍事産業を復活させ、さらに拡大させたことに気付けば、American Economy Firstのトランプ氏は、別の表現をしながらコミットするのかもしれませんが)。

いろいろなことが不確定で、この先がどうなるか不明瞭ですが、一つ確実なことは、ウクライナにとってあまりよい未来は訪れそうにないということでしょうか。

トランプ氏は“ウクライナに対するアメリカからの支援”をウクライナに対しても、ロシアに対しても交渉カードとして用いることになるかと思いますが、それはあくまでも“カード”であり、いろいろな見解を総合してみると、実際には“ウクライナへの支援の継続”にはあまり関心がなく、一刻も早くアメリカをウクライナから撤退させたいと願っているようです。

パリでゼレンスキー大統領と面会して協議した際にも、いろいろな要求をしてくるゼレンスキー大統領に対してあまり色よい返事をせず、ゼレンスキー大統領が持ち出した“ウクライナへの核兵器の再配備”というアイデアに対しては激怒したらしく、同行した人曰く「彼は危険だ。あまりアメリカが付き合い、ウクライナに引き込まれるべきではない。アメリカはロシアとの戦争には関心がないことを明確にしておく必要がある」と話したそうです。

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