『SHOGUN 将軍』米GG賞4冠で注目、「松田聖子はなぜアンナ・サワイになれなかったか?」ハリウッドも舌を巻いた日本の歌姫

2025.01.09
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第82回ゴールデングローブ賞で、真田広之(63)主演のドラマ『SHOGUN 将軍』(ディズニープラス)が4冠の快挙を達成、国内外でがぜん注目を集めています。これに関して、主演女優賞を受賞したアンナ・サワイ(32)のプロフィールを見るにつけ、松田聖子(62)のかつてのハリウッド挑戦を思い出さずにはいられない、と語るのは芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんです。

米ゴールデングローブ賞で4冠の快挙『SHOGUN 将軍』

『第97回アカデミー賞』に先駆け、『第82回ゴールデングローブ賞』(以下GGA)が、現地1月5日、ロサンゼルスで開かれました。

毎年、オスカー(アカデミー賞の別称)の行方を占う前哨戦と言われているGGAが今年、テレビドラマ部門で注目したのは『SHOGUN 将軍』でした。

主演男優賞は真田広之、主演女優賞はアンナ・サワイ、助演男優賞は浅野忠信に。主演女優賞は1980年の島田陽子さん(『将軍 SHŌGUN』)以来45年ぶり、男優賞は日本人初の受賞という快挙を成し遂げました。

2005年7月に公開された『亡国のイージス』終了後、日本を飛び出してハリウッドに渡って以来、辛抱し続けた真田広之が、20年経ってようやく認められたわけです。

私が45年前、ハリウッドで映画芸術を学んでいた頃は、伝統ある晴れ舞台で、日本人にスポットライトが当たることなど想像もできませんでした。

オスカーやGGAでは数年前から、審査員に対する金品の授受や人種、性別差別が指摘されていて、昨今の受賞シーンにはマイノリティにも門扉が開かれつつあるようですが、それでも今年の『将軍』は、そんな社会情勢を差し引いても、評価されて余りあるものだと思われます。

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「ハリウッド女優」松田聖子の遠い記憶

市内ウイルシャーにある『ビバリー・ヒルトン・ホテル』で行われた授賞式を観ながら、映画の台本を片手に、日本人役者のプロンプターをやっていた学生時代の私の記憶が、鮮やかに蘇ってきました。

昔の自分に思いを馳せながら、何となく受賞者3人のプロフィールを見直していた私は、アンナ・サワイで目が釘付けになりました。

両親とも日本人と言われ、ニュージーランド出身の彼女の所属するプロダクション名に見覚えがあったからです。

この『ウイリアム・モリス・エンデヴァー・エンターテイメント』(現エンデバー)は、リチャード・ギア、デンゼル・ワシントン、クリント・イーストウッドといった錚々たる大物役者たちと契約を結んでいる大手事務所です。

どこかで聞いたことが…と私が記憶を辿って思い出したのが、かつて松田聖子がハリウッドに挑戦したエピソードでした。

女優としてハリウッド挑戦をした聖子は、2005年9月からFoxで始まり、シーズン12まで続いたアメリカの大人気捜査ドラマ『BONES』の、2010年4月1日に放送されたシーズン5、第15話にスペシャル・ゲストとして出演していたのです。

役柄は日本人ジャーナリストでしたから、現地のパパラッチと「年中追われているんだから、役作りは簡単かもね」なんて冗談を言い合ったことを思い出します。

現地では“日本の歌姫がハリウッドで人気ドラマに出演。女優としてアメリカで活躍する布石になるのか”なんて、ちょっとした話題にもなっていました。

この窓口として対応してくれたのが、アンナ・サワイが現在所属する『エンデバー』だったのです。

当時の国際電話のやり取りは、今でも鮮明に憶えています。

「Seiko Matsudaはオーディションに合格したということか?」
「もちろん、そうだ」
「言葉に問題は無かったのか?」
「全く無かった。彼女はとてもラブリーでキュートな女性だが、仕事に関しては非常にプロフェッショナルだった」

当然当時のハリウッドでは、アジア系女性役者のひとりとしてしか認識されず、“歌姫”の実績がクローズアップされることはありませんでしたが、もし今なら…。

叶わない夢だったかもしれませんが、もし今なら、聖子の人生も随分と様変わりしていたのでは…なんて思ってしまいます。

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口の悪い芸能記者の中には「49歳でハリウッド初挑戦は難しいよ。英語は不倫相手だったカレシたちとのピロートークで身に付いた完璧な発音だとしてもね…」なんてバッサリ切り捨てる先輩たちもいました。

私は過去の経験もあり、誰も知らずとしても、何となく聖子を応援している自分が、心の隅に存在していました。

最近は昔の映像や、ジャジーな聖子しか見ることはできません。

でもたまには、心が落ち着いたのなら、元気な姿を見せてほしい…そう願うのは私だけではないはずだと思います。

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プロフィール:芋澤貞雄

1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao

image by:Embassy of the United States in Japan, Public domain, via Wikimedia Commons

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