役者のキャスティングは完ぺき、監督の実力も十分、実際に観たお客さんの評判だって決して悪くないのに、なぜか興行収入は伸びない――映画業界では定期的に、そんな“謎の爆死作品”が現れます。1月10日に公開されたばかりの『366日』もその1つ。このままでは、主演の赤楚衛二に「数字を持っていない役者」という有り難くない評判が定着しかねないと心配するのは、芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんです。
“赤楚衛二を除いて”盛り上がる日本映画界
年明けの映画興行は、話題作が目白押しで大いに盛り上がっているようですね。
まず挙げられるのは、佐藤健と永野芽郁がW主演を務めた『はたらく細胞』でしょう。そして次は木村拓哉の『グランメゾン・パリ』。映画関係者によれば、この2作品だけで約80億円の興収成績を残せるということだそうです。
『はたらく~』はメガヒット漫画の実写版で、楽しめながら勉強にもなると、親子やファミリーでの鑑賞が多く、佐藤健に白塗りをさせた意外性も話題になっていました。
『グランメゾン~』は、やはりキムタク、そしてドラマ視聴者からの継続人気でしょうか。ただ、やはりそれ以上に2作品とも主演を含め、絶妙なキャスティングとその企画力にヒットの理由があるように感じられます。
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赤楚ピンチ、映画関係者も首をひねる主演作『366日』の絶不調
昨年10月『室井慎次~』からの盛り上がりが年末、年明けと続き、今では『劇映画 孤独のグルメ』も優秀興行レースに参戦しているわけですが、その反面、残念ながら期待外れに終わりそうな作品もあります。
それは1月10日に公開された、大ヒット曲をモチーフに作られた『366日』。
主演は赤楚衛二、ヒロインは上白石萌歌。さらに監督は『四月は君の嘘』『なのに、千輝くんが甘すぎる。』などラブ・ストーリーの名手として知られる新城毅彦ということもあいまって、業界では『私の幸せな結婚』『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』に続くヒット作品誕生か――と期待されていたのですが…。
興行通信社調べの公開初週ランキングを見てみれば、消化不良の第6位に終わってしまいました。冒頭で取り上げた作品たちにも大差で敗れたことに、映画関係者たちは驚きを隠せずにいるようです。
『366日』は、キャスティングで20歳代から30歳代に人気の役者を使い、ストーリーも純粋な恋愛ものです。邦画史を紐解いても、そんな作品がコメディタッチのグルメ映画作品に大差で負けたことは過去に無いわけで…。しかも鑑賞後の観客コメントは2人を大絶賛するものが多く、「泣けた…」「切ない…」と好評なのに、です。
これは残念ながら、赤楚衛二に、“数字(視聴率と観客動員数)を持っていない役者”という冠が付いてしまいそうな状況と言えるかもしれません。
赤楚の最近の映画と言えば、昨年11月公開の『六人の嘘つきな大学生』がありました。こちらもキャスティングには浜辺美波を筆頭に若手人気役者を集め、ストーリーも人気があるミステリーだったのですが、最終興行成績は約4.9億円に終わってしまいました。
さらにその前の、7月公開の『もしも徳川家康が総理大臣になったら』も、浜辺美波、野村萬斎、GACKTという異色な組み合わせのキャストで、製作費も通常の倍以上をかけたにもかかわらず、最終興収は約11.7億円という寂しい結果に終わったのです。
たまたま出演作品が続けてヒットに恵まれなかったわけですが、これは製作側から見れば、今後のキャスティングに二の足を踏んでしまう役者のひとりになってしまった、と解釈されてもおかしくありません。
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