まるで日本の情弱老人。右翼系ユーチューバーの陰謀論を真に受け「非常戒厳」を宣言した韓国ユン大統領の認識力

 

捜査機関の「心理戦」で無力化された大統領警護庁

今回、大統領の逮捕という前例のない事態に直面し、大統領警護庁と捜査機関の間で激しい対立が発生。この状況は、韓国の法制度における重大な欠陥を浮き彫りにすると同時に、政府機関同士の衝突という未曾有の事態を引き起こす。

大統領警護庁は法律上、大統領を守る義務を負う。通常の状況下では不可欠な役割であるが、大統領が内乱罪で告発された今回のような事態では、その任務が捜査機関の職務と直接的に衝突。警護庁は約200人の職員による「人の壁」を形成し、軍の兵士まで動員して大統領を守ろうとしたが、これは法の執行を妨害する行為とも解釈され得るものだ。

一方、捜査機関は高官犯罪捜査庁(高捜庁)と警察の合同捜査本部を設置し、大統領の身柄確保を試みた。この対立は、大統領の逮捕を想定していなかった韓国の法制度の限界を露呈(*5)。

状況を打開するため、捜査機関は「心理戦」を展開。捜査機関は、逮捕状執行の妨害が公務員資格の喪失や年金の受給制限につながる可能性があると警告し、警護庁内部の結束を弱体化。この戦略により、最終的に大統領の身柄確保が可能となった(*6)。

※ 警察と大統領警護庁の動員力

▽人員

  • 警察 機動隊や捜査員、特殊部隊など 約2,800人
  • 大統領警護庁 警護庁要員や陸軍首都防衛司令部の兵士など 約1,800人

▽装備

  • 警察 ドローン、装甲車、自動小銃など
  • 大統領警護庁 多目的小型戦術車、拳銃、機関短銃など

出典:韓国大統領側、公邸を「要塞化」 悩む捜査当局、装甲車使用も検討

陰謀論にどハマりか。ユン大統領の主たる情報源

今回の騒動では、尹錫悦大統領の行動と発言が広く注目を集めている。特に、野党を「北朝鮮呼ばわり」する発言や、一部の陰謀論に傾倒していると指摘される状況が議論の的となっている。背景としては、大統領が主な情報源としてYouTubeを視聴している可能性が取り沙汰されている。

しかし尹大統領が特定の保守系YouTuberの主張に影響を受けているとの指摘は、単なる個人的な嗜好を超え、政策決定プロセスに歪みをもたらしている可能性を示唆。たとえば、大統領が「選挙管理委員会をはじめとする憲法機関と政府機関に対して、北朝鮮によるハッキング攻撃があった」を主張し、非常戒厳令の根拠として挙げた(*7)事例は、保守系YouTuberが広める「不正選挙」陰謀論と類似性がある。このこが、大統領の情報源が偏っているとの懸念を深める要因に。

さらに、大統領が野党を「従北勢力」と表現し、「中国や北朝鮮に国を奪われないために」と訴える支持者がいること(*8)も、韓国国内の世論の分断を浮き彫りにしている。このような言説がYouTubeを通じて広まり、大統領の認識形成に影響を与えている可能性は否定できない。

一方で、保守系YouTuberの影響力が増大する中、大統領公邸が彼らの「集結地」となっている現状(*9)は、政治的対立をより顕在化させている。

尹大統領が2024年12月12日に出した国民向けの談話

「選挙管理委員会をはじめとする憲法機関や政府機関に、北によるハッキング攻撃があったことを情報機関が発見し、情報流出と電算システムの安全性を点検しようとしたが、選挙管理委員会は憲法機関であることを掲げ、かたくなに拒否した」

「システム機器の一部だけを点検したが、状況は深刻だった。国家情報院の職員がハッカーとしてハッキングを試みると、いくらでもデータ操作が可能で、安全対策も事実上ないのと同じだった。民主主義の核心である選挙を管理する電算システムがこんなにでたらめなのに、どうして国民が選挙結果を信頼できるのか?」

出典:ネットの主張を大統領が… 韓国 非常戒厳の背景に何が?

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