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単にニュースを読むだけではないアメリカの「アンカー」

アメリカのテレビ業界では、「アナウンサー」よりも「アンカー」という用語が広く使用されている。

1950年代、テレビが急速に普及すると、ニュース番組の形式も大きく変化した。当初はニュースを読み上げる「ニュースリーダー」という存在が一般的であったが、ウォルター・クロンカイト氏のような人物が登場し、視聴者からの信頼を得る番組の「顔」としてのアンカーが誕生した。なお、「アンカー」という用語は、1952年の選挙集会報道で、クロンカイト氏の役割を指すために初めて使われたとされる。

アメリカでアンカーが重視されるのは、ジャーナリズムにおいて客観性と共に解釈や分析を重んじる特性にある。アンカーは単にニュースを読むだけでなく、出来事をわかりやすく解説し、専門家へのインタビューを通じて深掘りすることが求められる。

アンカー(anchor)とは、英語で「錨(いかり)」を意味し、テレビやラジオのニュース番組において重要な役割を果たす司会者や解説者を指す言葉(*8)。この用語は、船が流されないよう海に投げ入れる錨のように、ニュース番組を安定させ、視聴者に信頼性を与える存在を表現する(*9)

一方、イギリスでは「アンカー」よりも「ニュースリーダー」や「プレゼンター」という用語が一般的だ。これは、BBCをはじめとする公共放送の伝統が影響している。

資料

アメリカのアンカーの特徴

ジャーナリストとしての役割

  • アメリカのテレビアンカーは、単なる「読み役」ではなく、ジャーナリストとしての役割を果たす。
  • アンカーは必ず記者出身であり、豊富な取材経験と原稿執筆経験を持つ。
  • ニュースの選択権や編集権、時には取材記者の人事権まで持つことがある。
  • 番組の構成を統括する編集長としての役割も担う。

番組進行と情報伝達

  • アンカーは様々なリポートを次々につなぎ、紹介していく役割を果たす。
  • 記者リポートの紹介や、時には記者との直接のやりとりを行う。
  • 大事件の際には現場からの中継を行うことも。
  • 信頼性と影響力

アメリカの3大ネットワーク(ABC、NBC、CBS)のアンカーは、選挙にも影響を与える発言力を持つという。2018年の世論調査では、NBCのレスター・ホルトがアメリカで最も信頼されているテレビニュースアンカーとしてランク付けされた。

男女とも年齢に関係なく、個性や能力を重視して登用。Network Englishと呼ばれる全国放送用の発音基準に従って訓練を受ける。

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