ふと浮かんだアイディアを逃さないために。メモは「そのまま書く」ことが大事なワケ

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ふとした瞬間にハッとアイディアが浮かぶことってありませんか?そんなとき、メモに残しているという方は多いと思います。でも、同じ「メモをとる」という行為にも正しい方法があるようです。べストセラー『数学ガール』シリーズの作者でプログラマーの結城浩さんの場合、アイディアメモは「そのまま書く」ことを推奨しているそうです。このように勧めているのにはどのような理由があるのか? 自身のメルマガ『結城浩の「コミュニケーションの心がけ」』の中で解説しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:アイディアメモは「そのまま書く」のがポイント – 仕事の心がけ

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なぜアイディアメモは「そのまま書く」のが良いのか?

生活の中で、いいアイディアをふと思いつくことがあります。そんなときはさっとメモをとってうまくアイディアを逃さないようにしたいものですね。たとえば結城の場合には書いている本のアイディアはすかさずメモをとるようにしています。

アイディアメモのポイントは「そのまま書く」ということです。

アイディアメモを書くとき、つい前提条件や文脈から書き始めてしまうことがあります。でも、そうではなくて、思いついたことを「そのまま書く」のが重要です。その方がアイディアは逃げません。短い時間で、しかも楽にアイディアメモを書くことができます。

何かを思いついたときには、頭の中で火花が散っていて、必要な情報はおおよそ何らかの形で脳の中にあるわけで、そこから導き出されたアイディアが自分にとっては必然性のあるものとして心に浮かぶわけです。その火花が消えないうちにうまく捕まえる必要があります。

たとえば、ずいぶん以前のことになりますが『数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実』を書くときの根本的なアイディアとして「ベクトルの内積をメインにしよう」と思いつきました。そのときのアイディアメモはまず「内積メイン」と書きました。

アイディアメモを「そもそもベクトルを学ぶ人は、矢印そのものには違和感は覚えない。数学で扱うことには慣れていないかもしれないが、矢印には慣れ親しんでいる。そんな中で……」のような背景から書きとめるのは賢明ではありません。まずは一言「内積(を)メイン(にする)」と書いてしまう。アイディアを逃さないためです。

どうせ自分のアイディアメモは自分しか見ません。ですから、少なくともある程度の時間の間に復元できるようになってさえいれば良いはずです。ですから、まずはその火花が散った中核の部分を「そのまま書く」のが大事になります。

アイディアメモの内容はしばしば理不尽なフレーズになることがあります。直感的には重要に感じるのだが、言葉にすると論理があやしいようなケースです。それでもあえて「そのまま書く」のが重要です。論理の点検や用語の適切さは、あとから検討すれば良いこと。書きとめてさえあれば、検討はいくらでもできます。まずは「そのまま書く」ようにしましょう。

音声入力を利用するのもいいですね。心に浮かんだ言葉をそのまま声にのせてしまう。補足的な説明はあとから並べればいいことです。特に、自分がいま考えている心的状態をできるだけ復元しやすいようなキーワードを並べておくといいですね。そこでも、できるだけダイレクトに心の中でうごめいている力学をまっすぐ、そのまま言葉にのせるとうまくいくようです。

もちろん、「そのまま書く」だけで終わりにしてはいけません。思いついたことをいったんそのまま書いた後、あまり時間をおかずにーーー。(『結城浩の「コミュニケーションの心がけ」』2025年2月4日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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本を書く生活が30年を越え、著書は『数学ガール』『プログラマの数学』『暗号技術入門』『数学文章作法』『Java言語で学ぶデザインパターン入門』など60冊以上。2014年度日本数学会出版賞受賞。2024年には数学入門書『群論への第一歩』を刊行。

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