へグセス長官が表明した「米国の立場」の劇的な転換
ヘグセス米国防長官は2月13日、ブリュッセルで開かれた「ウクライナ防衛コンタクトグループ」の会合で演説し、ウクライナ戦争とその和平の見通しについての米国の立場を劇的に転換することを表明した。その要点は以下の通り(ペンタゴン発表の全文より抄訳)。
▼ウクライナ戦争に対するトランプ大統領の取り組みを説明する機会を頂き感謝する。我々は重大な瞬間にある。戦争が3年目を迎えようとしている時、我々のメッセージは明確で、殺戮は止めなければならず、そしてこの戦争は終わらせなければならないということだ。
▼トランプ大統領は米国民に対し、また各国の指導者に対し、戦闘を終わらせ永続的な平和を達成することが最優先課題だと表明してきた。大統領は、この戦争を外交によって終わらせ、ロシアとウクライナをテーブルに着かせようと考えている。
▼この破滅的な戦争を終わらせ、長続きする平和を打ち立てるには、我が方の力に頼るだけでなく、戦場の状況に対する現実的な評価をも勘案すべきだろう。我々は、皆さんと同様、独立し繁栄したウクライナを望んでいる。しかし、ウクライナの2014年以前の国境を回復しようとするのは非現実的な目標であることを認識することから出発しなければならない。このような幻想的な目標を追うことは、戦争を長引かせ、より多くの犠牲を出すだけである。
▼ウクライナにとっての長続きする平和には、二度と再び戦争が始まることがないようにするための強力な安全保障の確約が含まれなければならない。これは「ミンスク合意3.0」ではない。つまり米国は、ウクライナのNATO加盟は、これからの交渉による合意に含まれるべき現実的な結論ではないと考えている。
▼安全保障の確約は、NATOではなく、能力ある欧州および非欧州の部隊によって支えられなければならない。もしこれらの部隊が平和維持部隊としてウクライナ各所に配備されるのであれば、彼らは非NATOの任務の一環として配備されるのであり、NATO条約第5条〔集団的自衛権の発動〕が適用されるべきではない。また彼らの接触ラインは強力な国際的監視の下に置かれなければならない。
▼はっきりしていることは、いかなる安全保障の確約の下であっても、米国の部隊がウクライナに配備されることはないということである……。〔以下略〕
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