ゴーン氏の金言「Just ignore them(ただ無視しろ)」
VAIO事業の立ち上げに成功した後、IT系の私に新たに託されたミッションは、「テレビ村」と揶揄されていた伝統的で硬直した赤字AV(Audio/Visual)組織の大改革でした。
改革を強引に進めようとすれば守旧派のオジサンたちからあの手この手の凄まじい抵抗や嫌がらせを受け、かといって彼らの言い分を丁寧に聞き過ぎると、時間ばかり掛かって改革が一向に進まない、というジレンマに苦しんでいました。
ゴーン氏のアドバイスはただ一言「Just ignore them(ただ無視しろ)」というものでしたが、その言葉で吹っ切れて、テレビ村の大改革を推進するエネルギーになりました。
また、日産の第一印象を尋ねたときには、「問題だらけなので、大きなpotential of progress(改善の可能性)を感じた」という返答でしたが、私が担当したカンパニーも問題だらけだったので、このポジティブ思考にも共感してとても励みになりました。
彼と会った後、面会のお礼をメールで入れておいたのですが、その返事が今でも残っていますので、以下に原文をそのまま引用しておきます。
Tsujino-san,
Thank you for your very nice and supportive message. Meeting with you has been a flow of fresh air! It seems you are facing a very challenging situation. But I have no particular worry for you. Your open mindedness, your determination and your innovative thinking should be very valuable assets to help you overcome the difficulties. I wish you great success. Looking forward to see you again.
Regards,
C. Ghosn
以下和訳 by ChatGPT:
辻野さん、
とても素敵で温かいメッセージをありがとうございます。あなたとお会いできたことは、新鮮な風を感じるようでした!とても大変な状況に直面されているようですが、特に心配はしていません。あなたの柔軟な思考、決断力、そして革新的な考え方は、困難を乗り越えるための貴重な資産となるはずです。大きな成功をお祈りしています。またお会いできるのを楽しみにしています。
では。
C. ゴーン
ゴーン氏が逮捕された背景に何があったのか、同氏が会社の金を不正に着服するようなことを本当にしたのか、真相はわかりませんし、彼があのような形で日本からレバノンに逃亡してしまったことは残念に思っています。
もともとevilな面やgreedyな面があったのか、あるいはスター経営者として持て囃されていく過程で変質してしまったのかもわかりません。
しかし、私にとってのゴーン氏が個人的な恩人であることに変わりはなく、この短い文面を今読み返してみても、彼の温かく人を包み込むような人間性を懐かしく思います。
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