日本経済は「自国ファースト」とは真逆の状態にある
では、自国中心の経済とは何かというと、
「GDPと国内の生活水準の改善に寄与する経済」
ということに尽きると思います。
トランプ政権が多くの国を相手に引っかき回している「自国ファースト」は、まさにこの考え方に基づいています。
もっともトランプ氏の場合は、例えばメキシコで稼働している小型大衆車の大量生産ラインをアメリカ国内に移転しても、国民の喜ぶような雇用は実現しません。
なぜなら、アメリカの組合員の賃金を適用したら、ロボット化が進み、雇用の確保にはならないからです。また、高賃金の雇用を保証したら製品価格がインフレになってしまいます。仮にそうなって台数が出なくなれば、国内のディーラーや修理工場のメンテ売り上げに影響が生じてしまいます。
テック製品の製造拠点を国内に戻す話も同じです。
アップルは、このトランプ氏の方針に従うかのように、AI用のサーバ工場をアメリカ国内に建設して500ビリオン(75兆円相当)の投資をすると言っていますが、テスラのメガファクトリーと同じで、工場内はロボットだらけになるでしょう。
そうではあるのですが、仮にロボット工場になって、雇用創出は限られていても、ロボットを中心とした設備投資のカネは国内に落ちます。
そのあたりの計算は、トランプ氏はともかく、イーロン・マスク氏などは行っているのだと思います。
そして日本は、この自国ファースト経済という点についてだけは学んだ方が良いと思います。なぜならば、日本経済は自国ファースト経済にはなっていないからです。
次ページから、「わが国のGDPを損なう経済空洞化」と「クールジャパン政策によって生じている買い負け」の2点について、より具体的に問題点を検討していきます。









