米もマグロも消滅!それでも日本が「他国ファースト経済」をやめない理由。食も文化も海外勢に「買い負ける」悲劇の戦犯

 

(2)クールジャパン政策により日本の「買い負け」が生じている

2つ目の問題は、大間違いのクールジャパン政策です。空洞化放置、教育改革先送りの中で、日本国内では先端産業がどんどん消滅していきました。その結果として、現在は、大卒50%の高学歴社会であるにも関わらず観光立国などという政策が進んでいます。

私は観光業の強化には反対しません。富裕層向けの5つ星のホテルは、シティもリゾートも、和風旅館もまったく足りないし、ビジネスチャンスをどんどん逸しています。その一方で、おいしい部分は外資に奪われている、これは絶対に何とかしなくてはならないと思います。

オーバーツーリズム問題も、新幹線の荷物スペースを増やし、観光地にゴミ箱を増やし、民泊の規制緩和をするなど対策をすればいいと思います。インバウンドはもう少し増えても良いし、経済効果はダイレクトにGDPになるので現在の150%ぐらいまではいくだろうし、そこまでいっていいと思っています。

しかし問題は、そこではありません。クールジャパンのいきすぎで、日本人が日本のライフスタイルを維持できなくなっている、これが問題なのです。日本の文化は素晴らしいです。食文化も、工芸品も、おもてなしも素晴らしいのです。それが海外に「バレてしまう」ことで、日本に人が押し寄せてカネを落としてくれる、そこまでは基本的に日本経済にはプラスです。

ですが、いったん寿司の魅力にとりつかれた外国人は、自分の国に戻っても寿司を食べます。おいしいジャポニカ米(短粒米)の味を知ってしまったら、自分の家でも食べたくなります。そうしたトレンドが加速すると、米もマグロも高騰してしまいます。その結果として、日本は国として買い負けてしまい、日本人が日本の食生活から排除されることになります。

包丁などの工芸品もそうですし、例えば面白い日本のTVドラマは、外資の制作が主流になると、カネを払ってサブスクを買っていない人は排除されるようになります。つまり、いきすぎたクールジャパンの結果、買い負けが生じて、日本人が日本文化や日本式のライフスタイルから排除されてしまうことになります。

これは大問題です。

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