私たちを助けてくれるのはマスコミの秀才君ではなく身近な人々
それと、もうひとつ。変化の時代を逞しく生き抜くためには、親しい者や仲間を大切にすることが肝心です。今さらのようですが、改めて、人の「和」というものを大切にしましょう。
一人では乗り越えられない障壁も、皆で協力し合えば乗り越えることができるからです。昔、中国の孟子という人が、次のような名言を残しました。
「天の時は地の利に如(し)かず、地の利は人の和に如かず」
天の与えてくれた絶好のチャンスがあったとしても、地理的な優位性を手にした者には勝てません。地の利という言葉を現代の社会に置き換えれば、経済的、地政学的な優位性ということになるのでしょう。孟子は、そうした地の利があっても、「人の和」には勝てないと説いているのです。
時代の潮目が変わる時も、天才なら「天の時」を読むことができるのでしょう。
しかし、私のような凡人が天才の真似をしたところで「生兵法(なまびょうほう)は大怪我(おおけが)のもと」、株で大損でもするのが関の山です。まして、マスコミに登場する秀才諸氏の言うことを真に受けて右往左往していたのでは、命がいくつあっても足りません。
それよりも確かなのは「人の和」を大切にすることです。いざという時に手を差し伸べてくれるのは、あなたの周りの親しい人々です。
それに、身近な目の前の課題を乗り越える工夫なら、家族や友人たちの方が良いヒントをくれるはずです。
「三人寄れば文殊の知恵」、皆であーだこーだと相談している内に、何か名案も生まれるものです。お互いに手伝ったり助けられたり、互恵的な協力関係から、新しいビジネスが生まれないとも限りません。
落語の長屋ではありませんが、隣近所、顔の見える共同体で皆仲良くやって行きましょう。これなら、「社会的動物」である人間にもピッタリな無理のない対処法です。変化の時代を恐れる必要はありません。(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』2月28日配信号「潮目が変わる」より抜粋。この号の他の記事(「援助漬け」「ノックス砦の闘い」「雪の朝」)もお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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