ランチを選ぶ際、相手が「どこでもいいよ」と言ったのに「ここは?」と聞けば「これはちょっと…」と言われてしまう。そんな経験はありませんか? その原因をずばり語るのは「6つの仕事を掛け持ちする時間管理の専門家」として知られる石川和男さん。石川さんは自身のメルマガ『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』の中で、選択肢を狭めるメリットについて紹介しています。
不自由な人生こそが、自由を手に入れる最速の方法!
20代のころ、彼女とランチに出かけたときは「何がいい?」と、相手に気遣いができる良いオトコを演じていました。
優しくて包容力がある男と思われたかったからです。
そうすると、彼女は「何でもいいよ!」と答えます。
相思相愛、いい感じのカップル。
しかし、この会話が、のちに大変なことを引き起こすのです。
優柔不断の彼女はなかなか決められず、散々歩き回る。空腹の彼氏は「いい加減に決めろよ」と不機嫌になり、ヒールを履いた彼女は靴ずれになり足はパンパンに張って不愉快になる。
「じゃあ、ここの豚骨ラーメン屋にする?」と提案すると、彼女は「油っこいのは、ちょっと……」って、「何でもいいと言っておきながら、何でも良くないじゃないかー」と心の中でツッコミを入れながら店探しは延々と続くのです。
実は、人は選択肢が多すぎると、かえって決めることができなくなります。
品揃えが多いほど、好みの商品を見つけられて購入につながると思いがちです。しかし、多すぎることが逆効果になるのです。
「選択の科学」(文藝春秋)の著者でコロンビア大学のシーナ・アイエンガー氏が提唱したジャムの法則。この法則の元となった実験は、スーパーマーケットに買い物に来たお客様にジャムの販売をするというものです。
Aのグループには6種類のジャムの試食販売、Bのグループには24種類のジャムの試食販売を用意しました。
結果はどうなったか?
Aのグループでは、40%の人が試食をし、その後に購入した割合は30%。
一方、Bのグループでは試食をした人の割合は60%と多かったのに対して、購入した人はたったの3%。
品揃えが6種類しかなかったAグループの成約率は、24種類もあるBの実に10倍にも達したのです。
ランチの店探しで、「何でもいいよ」なんて言ってしまったら、24種類どころではありません。
選べないのは当たり前。
それならば、ジャムの法則を活かして「イタリアンと寿司と中華だったら何が食べたい?」と選択の幅を狭めることで選びやすくなり、お店を決めることができるようになります。
「何がいい?」という問いかけは、相手を困らせるだけで気遣いではなかったのです。
仕事も同じです。
お客様とのやり取りで、「打ち合わせの日程、お時間のあるときにお願い致します」と相手を気遣った発言は、逆効果なのです。人は選択肢が多いと選べない。
それなら、「3月の1日から4日までの9時から15時の間でお願いできますか」と、選択の幅を狭めてあげたほうがーーー(『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』 2025年2月27日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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