高配当株の投資が、かならずしも安心ではない理由
株式資産があって、そこからの配当を“自分年金”にしたい場合は、高配当な株式を買えばいいと思うかもしれない。たとえば、S&P500に含まれる主要500社の銘柄の中には配当が7%以上の銘柄もいくつかあったりする。具体的には以下のものだ。
【MO】アルトリア・グループ(配当率7.08%)
【LYB】ライオンデルバセル・インダストリーズ(配当率7.30%)
【WBA】ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(配当率7.37%)
【DOW】ダウ(配当率7.57%)
これを見たら、配当率が7.57%で一番高いダウを買っておけば安泰と思うかもしれない。だが、そこにワナがある。よくよく財務を確認してみると、この企業の直近1年の売上は減少、直近四半期の売上も減少していたりする。
負債比率もやや高めで、財務的なリスクがある。危険なのは配当性向で、通常、安定企業なら50~60%程度が健全な水準のところ、この企業の配当性向は、なんと178.83%であり、思わず息を飲むような危険な数字となっている。
配当性向が178.83%というのは、通常の企業経営では考えにくい異常値だ。財務的な持続可能性に重大な疑問を投げかける数字でもある。
配当性向とは、企業が純利益のうちどれだけを配当に回しているかを示す指標だ。安定した企業であれば、50~60%程度が健全とされる。100%を超える場合、企業は利益以上の金額を配当として支払っていることを意味している。ダウは178.83%だ。
ダウは借入金や内部留保を取り崩して配当を維持している可能性が高い。
高配当は一時的には投資家へのアピールになるかもしれないが、配当性向が178.83%なのであれば、長期的にはキャッシュフローの枯渇や財務の悪化を招き、最終的に減配や無配に陥るリスクが極めて高い。
この企業は、すでに負債比率も高めであり、追加の借り入れによる配当維持には限界がある。
つまり、配当が高いからといって飛びつくと、結局はどこかで大幅な減配か無配に陥る可能性があるわけで、これでは安定した配当が手に入らない。高配当株の投資は、かならずしも安心ではないのだ。