今後はAI(人工知能)が担うようになるとされている「ホワイトカラー」の仕事。では近い将来、子どもたちはどんな仕事に就ければよいのでしょうか。人気コンサルタントの永江一石さんは、自身のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の中で、そんな読者からのお悩みに回答しています。
「現場・職人×インバウンド」の将来性とは?
Question
いつもVoicyやメルマガの配信を楽しみにしています。私は4人の子どもを育てており、子どもたちが将来どのような仕事に就くべきか、今から考えています。
事務職などのホワイトカラーの仕事は、今後AIが担うようになる可能性があるため、建築や現場系の仕事の方が良いのではないかと思っています。また、事務職よりも現場系や職人の方が高収入を得やすいのではないかという理由もあります。
体を使う仕事をすることに特に抵抗はなく、問題も感じていません。さらに、インバウンド対応を考えると、英語は必須のスキルとして身につけさせたいと考えています。そこで、「現場・職人×インバウンド」という分野に需要があるのか気になっています。
もし需要がある場合、どのようにアプローチをしたり、仕事を獲得したり、展開していくのが良いでしょうか?ご回答をお待ちしております。
永江さんからの回答
4人のお子さんの将来について「ホワイトカラーよりも建築や現場系の仕事の方が将来性があるのでは?」というのはとても良い視点だと思います。
ただホワイトカラーの仕事が全てAIに代替されるわけではありません。例えば金融業界を見てみると、確かに日々の取り引きはAIが担当していますが、お客さんと直接話すところは人間がしっかり残っています。(薬剤師のように法律が変われば一気に減るかもしれない職業もあり)
一方で、建築や現場系の仕事がロボットに代替されにくい理由は、広範囲の複合的な判断や作業が求められるから。ファミリーレストランの猫ロボットだって、料理を運ぶだけなら可能でも、クレーム対応や食器の片付けまでは難しいですよね。同様に、一つのロボットに多様な機能を持たせるには膨大なコストがかかり、そうなると人間の方が安いんです。
建築や現場系の仕事の将来性は、一言でいうと場所選びで決まります。というのも人口減少により地方での一般住宅建設は減少傾向ですが、首都圏やインバウンド観光地(ニセコ、白馬など)では建設需要が高く、職人さんが足りなくて仕事を断るほどの状況だから。
自治体の財政状況を見ても、わたしの住む調布市のように自己資金が50%以上の地域がある一方、夕張市では18%程度で「生活保護自治体」のような状態です。繁栄する地域と衰退する地域の差は今後さらに広がるので、成功するためには投資が流入し、成長している地域を選ぶことが不可欠でしょう。
現場系の仕事でも、高度な技術や知識が求められる分野では高い給与が期待できます。トヨタのような大手メーカーの工場では年収1000万円クラスも珍しくなく、工業高専の卒業生は実践的な技術力から引く手あまたです。
建築分野でも、一級建築士の資格を持ち現場監督を務めることで高収入が期待できます。高層ビルでのクレーン操作など特殊技能も高い報酬につながります。「現場は学歴不要」という考えは古く、高収入を得るためには専門教育と資格取得が重要なんです。
またインバウンド対応はあらゆる業界で必須となっています。不動産市場でも外国人投資家の存在感が増し、飲食業でもホリエモンの「WAGYUMAFIA」のサイトは英語版だけで日本語版がありません。別に英語で外国人と討論する必要はなく、日常会話レベルでも十分価値があるので子どもたちの将来にとって英語は重要なスキルです。
大変長くなりましたが、将来の職業選択で成功するためのポイントは
- 儲かっている場所(地域)に行く
- 儲かっている会社に行く
- 儲かっている仕事に就く
の3つです。お子さんたちに将来有望な現場技術と英語力を身に着けさせたら「現場・職人×インバウンド」という有望分野で活躍できると思いますので、頑張ってくださいね。応援しています。
この記事の著者・永江一石さんのメルマガ
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