「もらえるカネは全部使う」官房機密費のふざけた流儀
官房機密費は2001年以来、毎年「14億6165万円」が予算に計上されている。そのうち2億円近くが内閣情報調査室に割り当てられるが、それ以外は「政策推進費」として官房長官が受け取れることになっている。
だが、必要がなければ使わなければいい。余った分は翌年度に繰り越されるか、国庫に返還されるだけのことだ。
安倍政権時代は年間約12~13億円程度が使われた。2020年9月に発足した菅義偉内閣は21年9月末までの約1年間で約13億3000万円を支出していた。「もらえるカネは全部使う」というわけだ。
それにしても毎月毎月、何でこんな大金が必要なのか。国家のインテリジェンスに関わることなら納得もできよう。しかし、つねに同じペースで支出されているのは、不自然きわまりない。さして重要ではないことに官房機密費を充てているから、そうなるのではないか。
小渕政権で官房長官をつとめた野中広務氏は、民主党に政権交代して間もない2010年春、官房長官在任中にどのような官房機密費の使い方をしていたかを告白した。毎月、首相に1000万円、衆院国対委員長と参院幹事長にそれぞれ500万円、首相経験者には盆暮れに100万円ずつ渡していたというのだ。
民主党政権がこの資金を乱用しないよう牽制するためにぶちまけたのだろう。それだけ、自民党がこの資金の旨みを知り尽くしているということだ。
「首相に月額1000万円」というのは今でもそうなのだろうか。参院予算委で杉尾議員から「領収書のいらないカネを1000万円、官房長官から渡されていると聞いている。事実か」と追及された石破首相は「どなたがおっしゃったかわからないことにお答えする気はありません」と言って答弁を避けた。
しかし、否定しなかったところをみると、まんざら当たってなくもないようだ。首相に毎月1000万を、あたかも渡切交際費のように届けるのが官房長官の慣例になっているのではないかと疑いたくもなる。(次ページに続く)









