メディア関係者も機密費のうまみに毒されている
国民の大切な血税を政治活動や選挙、飲み食いや人を手なずけるために使っているのが現実なのだ。メディアの関係者も少なからずこの恩恵に預かっているから本気で是正する動きにつながらない。
内閣官房機密費の起原は、明治時代にさかのぼる。内務省や外務省が秘密資金を管理し、外交や情報工作に利用。昭和になって軍部の影響力が強まり、スパイ活動にも資金が流用された。軍部の高官が新聞社の幹部や記者を高級料亭に招き、戦況や軍の動きを「特別情報」として提供し、軍寄りの記事を書くよう誘導した。
外交・安全保障・情報収集などの「機密性の高い活動」に対応するため、スピーディに使える資金がどの国にも必要であることは言うまでもない。しかし、日本の官房機密費の場合、管理がルーズすぎ、目的外使用の横行を簡単に許してしまっているように思える。
欧米の先進国と比べてみよう。アメリカでは大統領が自由に使える資金や、CIAなどの秘密活動資金もあるが、日本より監視が厳しく、完全な自由裁量ではない。イギリスの首相官邸も機密費を日本ほど自由には使えない。ドイツは議会、会計検査院が厳しく監査しており、私的流用が発覚しやすい仕組みとなっている。
日本では、過去に何度も国会で「機密費の透明化」を求める声が上がったが、歴代政権は全て拒否してきた。「会計検査院のチェックを受けるべき」との意見にも耳を傾けない。
もっとも、機密費の性質上、「透明化」が難題なのは確かである。つまるところ、「もらえるものは全ていただく」というゲスな考えを捨て、血税の真っ当な使い方を示す政権トップの出現を待つしかないのかもしれない。
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image by: 首相官邸ホームページ









