みのもんたさんは「消された」のではなく「私たちに未来を託した」
YouTubeでは、みのさんが「特別会計の闇」について、本当のことを番組で語ったからテレビ業界から消されたのだと解説しています。
しかし、私には別の物語が見えます。
2016年当時、体調の衰えを自覚し、そろそろ引退を覚悟していたみのさんが、視聴者への最後の「遺言」として、「特別会計の闇」を暴露したのではないでしょうか。
それは、アイゼンハワー大統領(Dwight David Eisenhower 1890-1969)の退任演説に似ているかもしれません。
第34代アメリカ合衆国大統領アイゼンハワー氏は、退任に臨む最後の演説で、「今、この国を動かしているのは、産業界と軍隊が結びついた軍産複合体(Military-industrial complex)だ」という爆弾発言を残したのです。
これも、大統領という重い職責を肩から降ろした最後の演説だからできたことです。彼が任期中に、ずっと心の底に抱えていたアメリカのタブーを、最後の最後に口に出したのです。
優秀な軍人としてノルマンディー上陸作戦を成功させ、英雄となったアイゼンハワー氏は、タブーを恐れず、米ソ冷戦の中でアメリカが今抱えている危険性について正直に語り、後任のケネディ大統領(John Fitzgerald Kennedy 1917-1963)に国の運命を託したのです。
その後、ケネディ大統領は、ソ連との軍拡競争を平和的な宇宙開発競争へと昇華するために「アポロ計画(有人月探査計画)」を立ち上げます。
みのさんのあの発言が一種の「遺言」であったと仮定するなら、古舘伊知郎さん最後の『報道ステーション』での対談は、みのさんが心の底に抱えていた「未来へのメッセージ」を語るのにぴったりの舞台だったことになります。
危ないタブーに敢えて挑戦したのは、報道畑で奮闘していた古館さんへの餞(はなむけ)という意味もあったのでしょう。(次ページに続く)









