米トランプ政権「ハーバード大の留学生受け入れ停止」発表が物議。これを支持する米国民が存在する理由

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トランプ政権の国土安全保障省クリスティ・ノーム長官が、米名門ハーバード大学の留学生受け入れを停止すると発表したことが波紋を拡げています。なぜこのような発表を出すに至ったのでしょうか? メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、日本のメディアがほとんど伝えない、米トランプ政権側からの説明を紹介。あなたは、この留学生受け入れ資格の停止についてどう思いますか?

ハーバード大学の留学生受け入れ資格停止

米国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官がハーバード大学の留学生受け入れ資格を停止すると発表しました。

マスコミも大々的にとりあげています。学問の自由の侵害、思想弾圧等の批判です。

しかし支持する米国人はいます。なぜなのでしょう? また、なぜクリスティ・ノーム長官はハーバード大学の留学生受け入れ資格をはく奪したのでしょう。

彼女自身がソーシャルメディアXでハーバード大学への警告メールを公開しています。

その中で、以下の記録を出さなければ留学生受け入れ資格を停止すると言っていたのです。

  1. ハーバード大学が保有する、公式または非公式を問わず、過去5年間にハーバード大学に在籍した非移民学生による、キャンパス内またはキャンパス外での「違法行為」に関するすべての記録(電子記録、音声または動画を含む)。
  2.  ハーバード大学が保有する、公式または非公式を問わず、電子記録や音声・動画記録を含む、過去5年間にハーバード大学に在籍した非移民学生による、キャンパス内またはキャンパス外での「危険なまたは暴力的な活動」に関するすべての記録。
  3. ハーバード大学が保有する、公式または非公式を問わず、電子記録および音声または動画を含む、過去5年間にハーバード大学に在籍していた非移民学生による、キャンパス内またはキャンパス外における「他の学生または大学職員に対する脅迫」に関するすべての記録。
  4. ハーバード大学が保有する、過去5年間にハーバード大学に在籍していた非移民学生による、キャンパス内またはキャンパス外における「他の学生または大学職員の権利の侵害」に関する、公式または非公式のすべての記録(電子記録および音声または動画を含む)。
  5.  過去5年間にハーバード大学に在籍していたすべての非移民学生の「懲戒記録」。
  6. ハーバード大学が保有する、いかなる「抗議活動」に関する音声または動画記録。

解説

この情報提供要求、伝えられるような学問の自由の侵害・思想弾圧とは思えません。

私から見ると1.「違法行為」2.「危険なまたは暴力的な活動」3.「他の学生または大学職員に対する脅迫」4.「他の学生または大学職員の権利の侵害」5.「懲戒記録」に関与した留学生の情報提供を求めるのは理解できます。

とくに1は当然の要求でしょう。学問の自由を楯に違法行為をした外国人学生を保護するのは間違っています。

クリスティ・ノーム長官の要求で問題は6です。

「抗議活動」に参加した学生の名前を開示請求するというのは、該当者が米国市民であれば、明白に許されないでしょう。

もし私がハーバード大学の担当者なら1の情報はすぐに提供します。2~5は程度を判断して情報提供するでしょう。6は反対です。

クリスティ・ノーム長官の要求も行き過ぎですが、ハーバード大学の反応にも疑問があるのです。これは日本のマスコミでは指摘されないことです。

しかし米国の報道では論調にも一定の歯止めがかかります。警告手紙をXで公開しているので、トランプ政権側の見方も多少は報道をせざるえないのです。

クリスティ・ノーム長官のハーバード大学への警告を原文で読む日本人はまれでしょう。それで日本の新聞・TVではトランプ政権側の説明をしないのです。

(ただ、この件については日本のいくつかの報道でも「ハーバード大学側に違法行為、危険または暴力的な活動の情報を求めた」とありました。注意深く記事を読む人なら「あれ、これってそれほど変な要求か?」と思った事でしょう。進歩です)

PS
2年前、慶應に大学院留学しているインドネシア人女性から聞いた話があります。

彼女がハーバード大学の友人に会いにいったときに、大学キャンパス内で「反イスラム教徒」のデモ・集会があったそうです。

それがあまりに過激で、ヒジャブ(イスラム女性の顔被り)をしていた彼女は身の危険を感じたそうです、で、友人女性と大学の事務室に「あまりにひどいデモだ」と抗議したそうです。しかし、「学問・表現の自由」と相手にされなかったそうです。

で、彼女は反米でした。その時の彼女の深刻な顔を思い出しました。世界は単純ではないです。

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image by: Rawpixel.com / Shutterstock.com

大澤 裕この著者の記事一覧

・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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【著者】 大澤 裕 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

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