イスラエルによるイラン攻撃と、それを可能にした緻密な諜報活動。この出来事は台湾にとって「対岸の火事」ではありませんでした。メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者・大澤裕さんは今回、イスラエルが投下した爆弾の場所を受けて、諜報戦の脆さを痛感したという台湾の記事を読みながら、日本が学ぶべきことを伝えています。
イラン攻撃、台湾の教訓
イスラエルのイラン攻撃、それに続く米国の地中貫通弾(バンカーバスター)の投下は、世界に衝撃を与えました。
いろんな意見があります。今日ご紹介するのは、台湾が得た教訓です。
香港サウスチャイナモーニングポスト、6月28日の記事「イスラエルがイランに対して行ったスパイ活動で台湾が警戒感を高めている理由」です。
記事抜粋
イスラエルのイランに対する広範な諜報活動は、台湾の安全保障コミュニティに衝撃を与えた
「イスラエルがイランに対して行ったこと――精密さ、浸透、諜報優位性を組み合わせた手法――は、中国が模倣しようとする可能性がある」と、台湾国際戦略研究協会(TISSS)のマックス・ロー氏は述べた。
「中国が(台湾の)最高指導者や軍事指揮官の動向のリアルタイムの情報を入手できれば、紛争の初期段階で指揮系統を混乱させたり無力化したりすることができ、士気を低下させ、降伏を迫る可能性もある」
淡江大学国際関係・戦略学教授であるアレクサンダー・チェチェン氏は、イスラエルによるイランの指導者やインフラに対する精密攻撃は、台湾にとって冷静な教訓となる、と述べています。
「イスラエルは、軍事施設を攻撃すると同時に、要人の寝室を標的に、バンカー貫通爆弾を使用しました。これが軍事情報の力です」
「どこかに隠れていれば安全だと考えるのは危険です。能力のある敵はあなたを見つけ出します。その恐怖だけで、政府の自信は打ち砕かれるでしょう」。
解説
バンカーバスターは核施設を狙ったのみならず、イラン要人の寝室を狙ったものでもあった。それはイスラエルの諜報機関の情報によってもたらされた、というのです。
ハード(軍事力)もソフト(情報力)がなければ役に立ちません。ソフト(情報)の方が大事とも言えます。引き続き、記事を見ましょう。
記事抜粋
最近、最も懸念される事例の一つは、中国に機密情報を漏洩したとして4人の元民主進歩党(DPP)関係者が起訴された事である。
その事件の広範さと深刻さは、中国の諜報網が既に台湾の政治・防衛システムに浸透している可能性を懸念させるものである。
台湾の脆弱性は、中国本土との地理的近接性だけでなく、数十年にわたる海峡両岸の社会・文化交流により、中国の諜報員が溶け込みやすく、人材の募集が容易になっている点にもある。
政府報道官のミシェル・リー氏は、内閣が国家安全保障や機密事項に関わる公務員を対象に、6月16日から特別審査手続きを実施すると発表した。
「首相、副首相、内閣官房長官、内閣官房副長官2人が、強化された審査の対象となる最初のグループに入る」と彼女は述べた。
リー氏によると、約2,000人の公務員を対象とする新たな措置では、指定役職にある者に対して3年ごとに追加のセキュリティチェックと財務チェックを実施する。国家安全保障違反の調査対象となっている者については直ちに審査を行うことが義務付けられている。
解説
日本からは過去に多数の政治家(議員団)が中国に行っています。
滞在中に女性と遊んだ人もいるでしょう。
その後、中国人に耳元で「x年y月の中国視察ではお楽しみだったようですね」などと囁かれたりすると、言いなりになってしまう政治家も多いでしょう。
台湾の懸念と対応は日本と無関係ではないのです。
この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com