今のムードは完全に「政権交代前夜」自民党内に衝撃
さて、その参院選。石破首相は勝敗ラインを「与党で50議席」としている。
非改選の議席は自公で75議席あり、今回の選挙で「50」を取れば、参院(定数248)の過半数(125議席)をなんとか維持できるからだろうが、本来ならボロ負けの数字である。
つまり、“実質的”な大敗北を覚悟しているからこそ、数字上の目標ラインを大きく引き下げ、政権の延命をはかろうとしているのだ。
5月10~11日に行われた自民党の情勢調査では、都議選で40議席近く、参院選では自民党だけで49議席をとれると見込まれていた。その後の5月21日、小泉進次郎農水大臣が華々しく登場したことから、党本部はさらに強気になり、あわよくば自公で60議席を越えるという見方まで出てきていた。
ところが、都議選を境にムードは一転。いまや「与党で50議席」を割ることはないのかと問われて「絶対に大丈夫」と言い切れる政治家は自民党の中にいないだろう。
なにしろ、公明党の組織力が年々低下し、都議選では全員当選どころか3人が落選した。前回参院選は14議席だったが、今回はとても同じようにはいかない。もし10議席どまりなら、自民は40議席とらなければならない。
それができなければ、石破首相の退陣は不可避だろうし、政権交代の可能性さえ出てくる。
思い出されるのが2007年、第一次安倍政権下における参院選だ。「消えた年金」問題や閣僚の不祥事が相次いだことが災いして、自民党は獲得議席数37(選挙区23、比例区14)という歴史的大敗を喫した。とりわけ全国で29あった1人区では群馬、福井、和歌山、山口、大分、鹿児島の6選挙区で勝利したものの、他の23選挙区が総崩れとなった。
これにより参院で与党の議席数が過半数を下回り、衆参ねじれ国会となって国会運営が難航。2009年の政権交代につながったことは周知の通りだ。(次ページに続く)









