中島聡が警告。米国で初任給2千万円だった情報工学の新卒生がファストフード店で働くしかなくなった現状から学ぶべきこと

 

この話はソフトウェア・エンジニアに限った話ではありません。たまたま、私たちソフトウェア・エンジニアは、「AI革命」の最前線に立たされているために、「AIを使えば生産性が上げられる」ことがすぐに体験でき、結果として、「なんとかAIを活用して生産性を上げなければならない」という強い進化圧に晒されているだけの話です。

同様の変化は、必ず他の仕事にもやってくるし、その変化に乗り遅れた企業は市場から淘汰されます。

特に、報告書を書く、議事録をとる、プレゼン資料を作る、翻訳・通訳する、帳簿に入力する、データを集計する、調査するなどの単純作業・提携業務は、ことごとくAIによって置き換えることが可能になりつつあります。その結果、「これまで100人で行っていた仕事を数人でこなす」などの大きな生産性の向上が、十分に可能になるのです。

上の二つの記事は、米国市場の話ですが、同様の変化は日本にもいずれはやって来ます。人を簡単には解雇出来ない日本の場合、米国ほどのスピードでの変化が起こるとは考えにくいですが、ただでさえ他の先進国と比べて一人当たりの生産性が低い日本は、さらに国際競争力を失うことになりかねません。

経営者であれば、どうやってこの変化を乗り越えて筋肉質な会社に生まれ変わるべきかを真剣に考えるべきだし、普通に働いている人も自分自身の生産性を上げるための準備を今からでも始めておくべきです。

「うちの会社は、AIの導入が遅いから」などと言っている余裕はありません。会社が導入しようがしまいが関係ありません、自分の生産性を上げ、AI時代に必要とされる人材になるためには、自らChatGPTなりClaudeを日々の仕事に導入すべきなのです。

(本記事は『週刊 Life is beautiful』2025年8月26日号の一部抜粋です。「緊縮財政 vs. 積極財政」「PerplexityによるChromeの買収」や「私の目に止まった記事(中島氏によるニュース解説)」、読者質問コーナー(今週は10名の質問に回答)などメルマガ全文はご購読のうえお楽しみください。初月無料です ※メルマガ全体 約1.5万字)

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