自称「創造主」が信者を自殺に追い込んだ裁判に見る“ミニカルト”の恐怖

 

愛人の「救い」ための自殺という行動が、なぜ起きたのか

ミヤネ屋(読売テレビ)でも、この事件が取り上げられましたが、20年ごろから浜田被告の愛人が逃げ出すようになり「(愛人を)正常な状態に戻すには、死んで魂になり、エロヒムという神が作ったシステムを破壊しなければならない」と告げたといいます。

そこで4人は集団自殺をするために海に入りますが、女性2人(浜田被告と滝谷被告)は途中で入水をやめますが、男性らは教祖の言葉を信じ切っていたのでしょう。海に入り、亡くなります。

「エロヒム?システムの破壊?何をいっているのかよくわからない」と思う方もいるかもしれませんが、簡単にいえば、教祖である浜田被告は、愛人をもとに戻す=「救う」ために「自殺」という選択肢を取るように仕向けたといえます。

一般にカルト思想を持つ集団では「救う」という言葉を用いながら、信者らを誘導します。

旧統一教会の霊感商法では、多くの人に高額な壺や印鑑を売りつけてお金をとりましたが、その勧誘行為は「その人自身や背後にいる先祖を救うことになる」といわれて、信者らは必死になってものを売りつけました。もちろん高額献金の勧誘も同じです。

世の中からみて違法行為であっても「救い」いう言葉を使い「善行」だと思わせながら、活動をさせます。これは多くのカルト思想団体で行われていることです。

カルト集団の引き起こす事件を未然に防ぐ対策の必要性

亡くなった男性の一人は、2008年頃「悩み相談」とあるHPを見てカウンセリングを受けたことがきっかけで、浜田被告を信奉するようになっています。その後、家を出て、親族や息子たち周りの人たちとの関係をシャットアウトして、不動産の売却代金や借金などをして7000万円ほどを捧げます。息子さんが会見されておられましたが、父親を失った心痛は、はかり知れないほど苦しいものだったと思います。家族被害の深刻さがここにあります。

カルト思想団体の誘いの手として、敷居の低い「相談」の形を通じて、個人情報を握り、心を教義に染めていき、周りの人間関係を絶たせようとしてきます。そして自らの狭いコミュニティのなかに引き入れて、時間厳守や睡眠時間などを奪うなど、行動を支配します。男性の信仰歴が12年であることを考えると、長い期間をかけて、心身をマインドコントロールされていたことがわかります。

許されないことは、自分の意思通りに行動するとわかっていて、教祖である浜田被告が自殺をするように仕向けていることです。

スピリチュアルの世界を信じすぎる人は、この世の中の出来事は、霊界からなされた結果だと思うので、今回のような命を失うようなことも、いとわない行動をしてしまうことがあります。

今後も、ミニカルトと呼ばれる集団が事件を引き起こすことは充分に考えられますので、信教の自由に配慮しつつ、こうした団体への規制や対策をどうするべきなのかを考える時をむかえています。

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