統一教会を襲う教団創立以来の危機。韓鶴子総裁へ“逮捕状請求”の衝撃と「日本への余波」

Hak_Ja_Han2006-02-05
 

日韓のみならず「当事国以外」のメディアでも報じられた、韓国の特別検察による旧統一教会の総裁・韓鶴子氏への逮捕状請求。日本では教団解散への手続きが着々と進んでいますが、事態は今後どのような展開を見せるのでしょうか。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』では長く同教団と対峙してきた有田さんが、現時点までの日韓両国における事実関係を整理し解説。さらに“統一教会包囲網”がこれまで以上に狭まる可能性を指摘しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:統一教会総本山の激震と日本の教団解散へ(上) 韓鶴子総裁へ逮捕状請求の衝撃と日本教団の行方(下)

旧統一教会の総裁に逮捕状請求。日本人信者からの献金の行方、日韓両国での政治関与疑惑、進む教団解散の流れ

9月15日、韓国の特別検察によって統一教会の韓鶴子総裁の召喚が行われる。韓総裁は文鮮明教祖(2012年に92歳で逝去)の妻だ。

これまで検察から召喚があったものの、健康上の理由(心臓疾患)で拒否、病院に入ったものの、退院後に再び11日を指定して呼び出しが行われた。特別検察は逮捕状の請求に言及。それに対して韓鶴子側は、15日を指定、検察がそれを認めたという経過だ。

韓鶴子総裁が召喚を受けても逮捕の可能性は消えていない。日本でも政治問題になってきた統一教会にとって、1954年の創立以来71年にして最大の危機である。何が起きているのか。

韓国検察(ソウル南部地検)は、尹錫悦前大統領の妻・金建希(キム・ゴンヒ)氏が旧統一教会の元幹部から高級ブランドバッグやダイヤモンドネックレス(総額約850万円相当)を受け取った疑惑を捜査してきた。これが教団のメコン川での事業支援や大統領就任式参加への便宜供与の見返りだった可能性を指摘、関係者の捜査を続けてきた。韓鶴子総裁は、この金品授受の首謀者として出国禁止処分を受け、参考人聴取の対象になっていた。

韓国からの情報では非公開を条件にすでに事情聴取が行われたという。検察は総裁の立件可能性も排除せず、11日午前から世界平和統一家庭連合世界本部の5つの地区や天宙平和連合の事務所、統一教会青坡洞事務所など7か所の家宅捜索を行なった。

教団ナンバー2ですでに逮捕、起訴された尹英鎬(ユンヨンホ)氏が金建希氏に贈り物を渡したのは「すべて総裁の指示」と供述しており、教団ぐるみの関与が追及されている。

尹前大統領夫妻の疑惑を担当する特別検察チームが発足したのは2025年7月だ。統一教会本部(京畿道加平郡の天正宮に韓鶴子総裁の住居があり、研修施設も多く日本の信者たちも定期的に訪問している)をすでに家宅捜索。そのとき韓総裁は検察官を怒鳴ったことなども伝えられている。

特別検察は総裁の部屋にあった金庫から韓国ウォン、ドル、日本円の現金や貴金属を大量に発見した。ここから日本人信者の献金が不正に使われた疑いが浮上してきた。

文鮮明時代から漁業や射撃などの「趣味産業」を事業化してきた教団だ。カジノも教祖の趣味で、韓鶴子総裁もしばしばラスベガスでカジノに興じてきたことは『週刊文春』がしばしば報じてきた。2008年から2011年に韓鶴子総裁ら教団幹部12人がラスベガスのカジノで約600億ウォン(約64億円)を費やした疑惑だ。日本人信者が12億円を運んだとの証言もある(石井謙一郎〈『「週刊文春」vs統一教会の30年』参照)。日本人信者からの献金をカジノ資金として使用したのではないか。

公訴時効は15年。尹前政権の側近である権性東(「国民の声」)議員が警察の捜査情報を教団に漏らし、捜査を中断させた可能性も捜査対象になっている。政治資金法違反と請託の疑いもある。教団が尹錫悦大統領選支援のため1億ウォンを提供した疑いだ。韓国で進んでいる統一教会への捜査は、日本の統一教会問題にも波及する可能性がある。

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