高市早苗の失脚も麻生太郎の終焉もすべて必然。小林よしのり氏が語る「愛子天皇」実現へと向かう“時勢”の流れ

ky20251015
 

自公の連立解消で「高市首相」の誕生に暗雲が漂い、混迷を極める日本の政局。各種メディアは主要政党の離合集散の予測に余念がありませんが、いかなる地点に落ち着くことになるのでしょうか。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では漫画家の小林よしのりさんが、過去の戦争から現在の政局まで一貫して人々を動かしてきた「時勢」について解説。その上で、国民民主党の玉木雄一郎代表が「首相になるしかない」理由を論じています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ゴーマニズム宣言・第581回「時勢には逆らえない」

時勢には逆らえない

いつの時代にも「時勢」というものがある。

人は自分の生きる時代を選べない以上、それが自分にとって好都合だろうが、不都合だろうが、今の「時勢」の中で生きるしかない。人はどんなに不本意であろうと、「時勢」を無視して生きることはできないのである。

石破茂が首相退任直前の「最後っ屁」のように「戦後80年所感」なるものを発表したが、とっくに敗戦という結果が出て、80年も経ってから後出しジャンケンで「なぜ、あの戦争を避けられなかったのか」なんて言っても、完全に無意味である。

その時代には、その時代の時勢があったのだ。

1930年代には「これからは全体主義の時代だ」と、誰もが信じていた。国家が生き残るためには全体主義化するしかないというのが歴史の必然だと思われていて、いちはやくその流れに乗らなければならないとして「バスに乗り遅れるな」というスローガンが唱えられ、日本はドイツ・イタリアとの「三国同盟」へと向かっていった。

それこそが世界史の流れであるというのが、当時は日本のみならず世界中の認識だった。それがその時代の時勢であり、その方向に突き進むしかなかったのである。

国内事情においても、その時代の時勢があった。当時の民衆は、政治の腐敗と無為無策に心底ウンザリしていて、軍隊の清廉さと実行力に対して圧倒的な支持が集まっていたのだ。

軍隊の暴走を抑えるための文民統制の制度がなかったというシステム上の問題はあったが、それは些細な問題だ。それよりもずっと大きかったのは、当時が「帝国主義」の時代だったということだ。強国は弱小国を植民地支配することが当然とされていた時代だったのだ。

弱肉強食、食うか食われるかの時代に、反戦平和なんて訴えられるわけがない。戦争する力のない国は侵略され、植民地にされるしかなかった。

侵略する側になるか?侵略される側になるか?の二者択一しか許されなかったのが当時の時勢であって、そこで日本人は侵略する側を選択したのだ。

それはもう、全部仕方がないことだったのであって、戦後80年も経った今の日本人が、しかも石破ごときが偉そうにどうこう言ったところで何の意味もない。もしもその時代にタイムマシンで行ったとしたら、結局はその時代に全く逆らえず、何もできないに決まっている。

わしは『戦争論』の冒頭(P.33)で、こう言った。

だったらおまえがその当時の人間だったら何かできたのか?

人は時代の条件と気分の中にしか存在しない。

時代の必然性を無視して『失敗しやがって』と言える者こそが無責任で信用ならない連中なのだ。

歴史の中のどの先人たちもぎりぎりの状況の中でぎりぎりの選択をおこなってきた。時代に恵まれ 時代に見離されながら…。

発表から27年も経つが、たったこれだけの認識すら定着せず、いまなお「無責任で信用ならない連中」ばかりが大量生産されているというのが現状である。

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