高市早苗の失脚も麻生太郎の終焉もすべて必然。小林よしのり氏が語る「愛子天皇」実現へと向かう“時勢”の流れ

 

そして80年以上前と同じように現在も、誰にも逆らうことができない「時勢」がある。

公明党の連立政権離脱で「高市首相」の誕生は全く不透明となり、どことどこが連立を組んで、誰が首相になるかということがいろいろ取りざたされているが、時勢でいえば、国民民主党の玉木代表を担いで政権交代しようという方向に進んで行くしかないだろう。

自民党から公明党が離れた時点でそういう勢いは決まったようなもので、高市早苗は哀れだけれど、もう仕方がない。

結局、高市はとにかく人心掌握ができない人だったのだ。そう考えると、並み居る豪族たちを従えていた卑弥呼や、神功皇后や古代の女性天皇はすごかったのだなと改めて思う。

安倍晋三だったら何を言おうが何をやろうがみんな支持していたし、公明党もついていった。ところが安倍の「コピー」と言われるほど安倍と同じことを言っている高市には、誰もついていかないのだ。

高市に人心掌握の能力がないことは、一般大衆にも見えているようだ。たとえイデオロギーが同じでも、人が違えば大衆の反応は全く違う。そもそも思想信条や主張なんか、誰も注目しちゃいないのだ。ただ安倍晋三は血筋が良くてちょっと見栄えがよかったという、ただそれだけだ。あとは「アベノミクス」という号令がなんとなく威勢が良くてものすごく効いたのだ。

しかし「サナエノミクス」なんて言っても何のインパクトもないし、単に安倍のマネと思われて終わりだ。高市はとにかく人物に魅力がなかった。「女性」という要素も一切プラスには働かなかったのだ。

それでもネトウヨはまだ高市に期待していたのだが、自民党総裁になった途端に靖国参拝を取りやめたところで、すっかりドッチラケになってしまった。

ところがそれでも公明党から見れば、たとえ靖国参拝をやめても高市は超右翼で危険な存在だったのだ。

そもそも公明党としては、自民党の「政治とカネ」の問題のとばっちりで自身の票も減らしてしまい、このままだと共倒れになりそうだという危機感から、もう連立を離れたいという思いは募っていたようだ。

しかもそんな時に、よりによって萩生田を幹事長代行に起用したことが公明党の神経を思いっきり逆なでした。萩生田は政治とカネ問題の象徴みたいな存在である上に、統一協会問題もまだ引きずっている。公明党にとっては統一協会なんか決して許せるものではないはずだ。

創価学会の信者も高齢化しているし、池田大作も死んだし、二世・三世の信者はそんなに熱心じゃないし、公明党自体の退潮にも歯止めがかかりそうにない。このままでは次の選挙では参政党に負けてしまうかもしれない。そうなるとより一層、高市なんかにつくわけにはいかない。

もう公明党はきれいさっぱり自民とは別れたのであり、復縁はありえない。

とはいえ公明党も長年政権与党の旨みを知り尽くしているから、この先ずっと野党暮らしを続けることはできないはずだ。だから公明党は立憲民主党や国民民主党と組んで政権交代を起こし、再び与党に入りたいと考えているだろう。

連合が支持母体の国民民主が公明の代わりに自民と連立を組むという決断などできるわけがなく、それよりは犬猿の仲の立民と組んだ方がまだマシのはずだ。立民との間に公明が入って、しかも玉木を首相に擁立するとなれば乗れるだろう。

とにかくそんな流れが出来たのだから、ここで二の足を踏んでたたずんでいるわけにはいかない。成功するかどうかはわからないが、まずは政権交代して、玉木が首相をやってみるしかないというのが、いまの時勢というものである。

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