宗教法人優遇税制の問題点
筆者は宗教法人について、頭から否定するつもりはありません。宗教というのは、太古から人の心の救いになってきた面は必ずあるし、それを信じる人たちにとっては命よりも大事な場合もあります。
また現在の宗教団体の中には、地域のコミュニティーとしての機能を果たしているようなケースも多いものです。生活に苦しい人に信者同士で仕事を融通したり、生活の相談に乗ってくれたりもします。
貧しい家庭や孤独な老人にとって、宗教に入ることが救いになるケースも多いと思われます。現代日本が失いつつある「地域の機能」を、宗教法人が代わって果たしている面もあるでしょう。
だから、宗教法人がある程度の税制優遇を受けるのは、不自然ではないともいえます。
が、今の宗教法人税制を手放しで容認するわけにはいきません。今の宗教法人税制は、多々の問題点を抱えているといえるのです。
というのも、まず第一の問題点は、「透明性」です。
社会からこれだけの巨額のお金を集め、税制でもこれだめ優遇されているのだから、会計などには、当然、「透明性」が求められます。それが社会的義務でもあるはずです。が、今の宗教法人は、会計などに「透明性」があるとは決して言えないのです。
幹部などが宗教法人の金を個人的に費消したりするケースは多々あり、本来それには幹部個人に所得税や住民税が課されなくてはなりません。
しかし巨大宗教の場合、その多くは見逃されているのです。
宗教法人は、収益事業をしていれば税務署の申告の義務があります。また収益事業をしていなくても、宗教活動で8,000万円以上の収入があれば税務署に申告しなければなりません。だから、名だたる宗教法人のほとんどは、税務署の監査を受ける立場にあるといえます。
しかし、名だたる宗教法人のほとんどは、その政治力を駆使し、税務署の監査をきちんと受けていないのです。
たとえば、創価学会は、1990年に税務調査に入られ、墓石の売上など経理ミスで、多額の追徴課税を受けました。が、それ以降は、税務調査に入っていません。
これほどの巨大宗教団体が、25年に渡って、ほとんど税務署から接触されていないというのは、異常なことです。1993年以降、政権与党に入ったため(一時的に政権から離脱したことはある)と考えられるのです。
国税側の意気地なしぶりもさることながら、創価学会側としても、国民の理解を得るためにも、税務調査を受けるべきではないでしょうか?本当に国民に支持をされる宗教団体になるためには、税務調査受けるくらいの社会的責任はまっとうしなければならないはずです。またそれは国民に対して、宗教法人の透明性を証明する上でも不可欠なことです。
公明党が「政治と金の問題」を指摘するためには、その母体である創価学会は「宗教と金の問題」を自ら解決すべきでしょう。
(本記事はメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2025年10月16日号の一部抜粋です。「高齢一人暮らしの幸福度は収入が左右する」「男性の“高齢一人暮らし”は不幸になりやすい?」「国民には大増税、自分たちには大減税をしてきた財務省」を含む全文はご登録の上ご覧ください。初月無料です)
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