政治家と旧統一教会のつながりが原因。声をあげられなかった「宗教2世」山上徹也被告の妹が語る「家族間の対立」と「板挟み」の現実

 

なぜ、被害者が声をあげられない社会だったのか?

旧統一教会の宗教2世や被害者は、なぜ声をあげられなかったのでしょうか。

それができなかった理由の一つにやはり、政治家と旧統一教会のつながりがあったからだと考えています。当時、現職の総理大臣である安倍一強といわれた時代です。被害者は政治的の権威の前に、被害の声すらもあげられなかった状況があります。

全国統一教会被害対策弁護団による集団調停で、被害者である申立人132人に対して、教団側が合計で約21億3364万円の解決金を支払うことで調停が成立しました。

調停が成立した一人である、母親の相続人である60歳代女性は次のように話しています。

ちなみに、母親は信者として土地の売却代金で全額献金させられるなどして、約2億2000万円の被害に遭っています。その被害に気づき、返金を教団にすべきか、親戚に尋ねたようです。

「母はとても悔やんでいました。でも、親戚から安倍総理とつながりがある統一教会と闘うのは危ないのではないかといわれ、怖いからと諦めていました」と話します。

このコメントは大事で、いかに被害者が政治家と旧統一教会のつながりを前に声を上げられずにきたかを示しています。

霊感商法や高額献金などの被害の声を封じて、葬り去りたい。教団の狙いが確実に社会に浸透していたことがわかります。

政治家が教団にかかわることで、信者らの活動を鼓舞することで被害が広がる点については指摘されてきましたが、被害者が声をあげられない負の側面もあります。

このような声をあげられない社会の姿を二度と繰り返してはなりません。

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悪徳業者などへの潜入取材した数は100ヶ所以上。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。現在はヤフーニュースのオーサ・公式コメンテーターとして、コメントやニュース記事を執筆中。消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」(2017年~18年)の委員も務めた。雑誌「ダカーポ」にて、悪徳商法に誘われたらついていく連載を担当。それをまとめた著書「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)はフジテレビで番組化され、ゴールデン枠の特番で第8弾まで放送された。新刊11月予定「信じてみたら、ダマされる。~元統一教会信者だから書けたマインドコントロールの手口」(清談社清談社Publico)

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