政権という“魔物”に呑み込まれたら玉木は終了。“連立入り”に傾く国民民主が辿りかねない政党消滅の道

 

178万円合意でも動いた形跡がある「影の支配者」麻生

より政権の安定性を求めるため、おそらく今後、高市首相は国民民主に連立入りを働きかけるに違いない。政権の“影の支配者”と見られる麻生太郎氏が、以前から国民民主との連立を模索してきたことはよく知られている。今回の「178万円」合意でも、麻生氏が動いた形跡がある。

自民幹部によると、麻生太郎副総裁と国民民主の榛葉賀津也幹事長が18日に詰めの協議を行い、首相の「政治決断」を演出した。(時事通信)

また、自民党の小野寺税調会長は、ネット動画番組「言論テレビ」に出演してこう語っている。

「ギリギリのタイミングまで詰めをやっていた。総理に“ここまでいけば国民民主は昨年の合意を完璧に守ってくれた”と思ってくれるので、財務省と総務省を説き伏せることが必要ですと言ったら、“それは任せなさい”と言われた。そこで国民の古川税調会長に178万円まで上げます、80%の方々が含まれるところまで自民党としては合意しますと伝えたのです」

高市首相が「任せなさい」と言えたのは、片山財務大臣の存在もさることながら、財務省に影響力のある麻生氏が動いていることも頭にあったからではないだろうか。

高市首相と玉木代表の距離は今回の合意で急速に縮まった。麻生氏と榛葉幹事長は漫画本の貸し借りをする仲だ。「連立入り」の観測が強まるのは当然だが、国民民主にしてみれば、そう簡単な話ではない。支持母体である連合は否定的な意向だし、小選挙区制が続く限り自民との候補者調整は難しい。

国民民主の玉木代表は連立に関し「政策実現の度合いなどを見定めながら、どこまで突っ込んでいくのか決めざるを得ない。模索している最中だ」と最近の講演で語っている。かなり“その気”になりつつあることがうかがえる。

だが、野党でいても政策実現できるのに、あえて連立入りする必要があるのだろうか。政権という魔物にのみこまれてしまったら一巻の終わりである。

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image by: X(@玉木雄一郎(国民民主党)

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